サポ限に書いていたこと33 小説が書けなくなったとき・5

■漠然と書けなくなった人


 鬱でもないし、疲れてもいない。とにかく、創作意欲がわかないんだとボヤきたい人もいるでしょう。

 そんな人のために、いくつか方法を書きます。

 ぜひお試しください。



★書けなくなったときに考える、六つの質問


一、あなたは、どんなことに心から喜び、満足を感じますか?

二、子供のとき、ワクワクしていたことはなんですか?

三、叶えてもらいたい三つの願いはなんですか?

四、お金に困らないとしたら、なにをしますか?

五、生き方で大切にしたい三つのことはなんですか?

六、あなたの残りの人生が三日だったら、どう過ごしますか?


 六つの質問を自分自身にすることで、いろいろなことを掘り起こしては思い出してください。

 書けなくなっているときは、「面白い作品をつくらなくてはいけない」「いい作品を書かなくてはならない」という具合に、自分自身を追い込んでしまって自由な発想ができなくなっている状況にあると考えられます。

 心にブレーキをかける理性を、一度取り外し、自由な考えをしていた子供のころを思い出しながら質問に答えてみてください。

 答えたら、それらを眺めて、自分が好きなものや楽しいとおもえるものはどんなものなのか、客観視することで、新たな創作の糧にしてください。

 ちなみに、あらゆる年代の人が望むものは、決まっている。

 若さ(美貌)と、お金と、知識である。

 


★ネタが切れたと感じたら


「これまでの人生を振り返り、自分の感情を激しく動かしてくれた特別なシーンをもう一度思い出して反芻し、見る角度を変えたり、視点を変えたりして向きあってみること」


 これも同じです。

 ただ思い出すだけではなく、大事なのは「見る角度を変えたり、視点を変えたり」の部分です。

 見る角度を変えるとはどういうことか。

 思い出した特別なシーンは、当時の自分自身、一人称です。

 そんな自分自身の隣に、現在の自分を座らせて、隣から眺めるのです。当時の自分は幼くてまだ知らなかったことやできなかったことでも、現在の大人の自分なら知識もどうしたら良いのかも思いつくはずです。

 視点を変えるとはどういうことか。

 思い出したシーンに登場する人達、それぞれの視点に立ってみて、当時の自分を見てみるのです。

 あのときの周りの人達は、一体どんなことを考えて、自分を見ていたのかを想像するのです。正しい答えに行き着かなくてもいいです。こんあ事を考えていたのではないのか、ひょっとしたらこんな風に見えていたのではないのか。

 あれやこれやと想像してみてください。

 特別だったシーンが、更に深みを増して蘇ってくるでしょう。



★モチベーションのステップ


一、ゴールを決める。

二、タスクを楽しくする。

三、感情に訴える。

四、ゴール達成までに予想される障害と解決策を考える。

五、ゴール達成までのステップをブレークダウンする。

六、手助けしてくれる人を考える。

七、ゴール達成したときの姿を思い浮かべる。

八、標語やキャッチフレーズを考える

九、自分にご褒美を与える。


 創作には長い期間が必要です。

 作品を作り出す前、作っている最中、完成するまでのモチベーション維持は欠かせません。

 作者自身で、作品作りのモチベーション管理が重要になってきます。書けなくなったとは、創作モチベーションが不足している状態だと思われます。

 何事もはじめる前に「ゴールを決める」ことが肝心です。

 どこに向かっていくのか、いつまでに、どのようなものを、と具体的に決めます。

 創作は産みの苦しみといいますが、苦しいことの中にしか楽しことがないのも事実です。

 お話作りのすべての工程を楽しむことをわすれてはいけません。

 作者も人間です。登場人物も人間であり、読者も人間です。

 感情に訴え、心を揺さぶるものでなければ、読者は感動しません。理性的で機械的に作ったものは、型にはめたものであってそれ以上の感動がありません。機械計算であるAIで作ったものに面白味はあってもそれ以上の良さがないのは、感情の部分が不足しているからです。

 とにかく、創作には時間がかかります。

 時間の確保が大事になります。また、時間が取れたとしても、すぐ創作に入るための環境づくりも欠かせません。邪魔する人や用事は遠ざけ、どっぷりと物語の世界に浸かりながら作るための準備は欠かせません。

 できあがりをイメージするのは大事です。

 創作に限ったことではなく、あらゆる仕事においてもイメージする力は助けになります。

 キャッチフレーズは、いつ作ってもいいのですが、最初にイメージしたものとできあがりが異なる場合もありますので、できあがってから考えてもいいです。

「完成したら、あの子に告白するんだ」と死亡フラグをたてるひつようはないですが、何かしらのご褒美、美味しものを食べるでもいいし。ほしかったものを購入するでもいいです。自分自身の目の前に人参をぶら下げて、必死になって走る馬車馬のごとく、執筆活動に励んでください。



★お話の考え方


 自分自身と対話してお話を考える方法です。漠然と浮かんでいるものの、いまひとつ考えがまとまらない場合、次の質問に答えてみてください。


一、主人公はどんな人ですか?

二、主人公の好きなものや、好きなことはなんですか?

三、主人公のきらいなものはなんですか?

四、そもそも、なにをしようとする話ですか?

五、読者に伝えることはなんですか?

六、あらすじをニ行でいってみてください。

七、クライマックスになにが起きますか?

八、クライマックス直前になにが起きますか?

九、きっかけとなる出来事や事件はなんですか?

十、どんなラストを迎えますか?

十一、真ん中で起きる葛藤や衝突はなんですか?

十二、ライバルはどんな人ですか?

十三、協力者はどんな人ですか?

十四、協力者はどんな性格ですか?

十五、主人公にとって、破る殻はなんですか?

十六、この物語のもつ意味はなんですか?


 物語を作るためには、まずは主人公を作り込んでいくことが大切です。主人公の嫌いなものが、物語をもつ意味を決めます。

 臆病だった主人公が最後には克服するように。

 そもそも、物語とは主人公の変化や成長を描くものです。主人公の弱点が魅力となり、追い込むことで物語が前へと進みます。

 だから作者は、主人公に対して意地悪なことを考えては、どんどん仕掛けるのです。主人公の好きなものを否定していくのです。

 主人公がなにをするかは、難しくなくていいので、どんな話かを簡単に説明してください。弱点を克服すると決めたら、そこへ向かて行く話になります。

 読み手に伝えたいこととは、テーマとメッセージのことです。あとで考えても問題ないです。

 あらすじとは,日常からなんらかの原因で非日常の体験をし、日常へと帰ってくる旅である。仕事に疲れた人が、たまには温泉へと思い箱根へ行き、疲労回復して元気になり、日常に帰ってまた頑張る日帰り旅行も、物語になる。

 中間に起きる葛藤や衝突とは、物語のターニングポイントです。一つのアイデアに対して、反対のものをぶつけることで、葛藤となり、葛藤が新たな発想を生まれやすくします。

 山場であるクライマックスが、作者としては一番書きたい、好きな部分だと思います。

 どんな主人公で、どんな結末を迎え、クライマックスになにが起きるのか。この三つを決めれば、あとはその間の道筋をつくってあげればお話になります。

 主人公の破るべき殻とは、作者ではなく主人公の自発的な行動に出る瞬間のことです。

 思考の癖、ある種の思い込み、苦手意識がくり返されることで殻が作られます。

 主人公が性格を変えようとするために、未清算な過去と向き合い、ヒビを入れて破ることで成長するのです。

 殻を破る行為は、クライマックス前に主人公が行うことです。



 読者にとっては、主人公こそが読者の分身であり、共感する対象です。読者に伝えるためにも、主人公や登場人物のイメージを、具体的に作り込んでください。

 顔、体型、服装。

 年齢、年代、性別。

 職業、月収、年収。

 家族構成、既婚未婚、居住地。

 性格、最終学歴、趣味。

 生活スタイル、悩み、愛読書や好きな音楽。

 好きなWebサイト、情報源、デバイス。

 いつ見るのか、どこで見るのか、交友関係。


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