小説推理新人賞について
小説推理新人賞とは、双葉社が主催する短編推理小説を公募する新人文学賞である。
受賞作の発表は例年、双葉社が発行する小説誌『小説推理』八月号で行われ、受賞作が掲載される。
受賞者には正賞及び副賞として百万円が贈られる。
■応募内容
広義の意味での推理小説。
未発表自作。新人に限られる。
年齢、性別は問わない。
■規定枚数
四百字詰め原稿用紙八十枚以内。
(枚数オーバーの場合は失格)
■小説推理新人賞とは
短編のミステリー新人賞である。
三人の選考委員が三年で全員入れ替わり、選考座談会を「小説推理」に掲載するスタイル。誰が何を批評したのかが明らかで、わかりやすい。また、選考会の雰囲気もわかるので、新人賞に応募する人は、座談会を一読することをお勧めする。
ミステリ専門の新人賞であり、基本的なトリック、ミス・リードなどの技術は必要。
とはいえ、プロットやストーリー展開、登場人物のキャラクター、語り手の視点、文章力などが優れていると、ミステリー部分が弱くても受賞する傾向がある。
「ミステリーズ! 新人賞」とほぼ同じ。だが、わずかにレベルが落ちる。しかし、受賞作を見れば誤差の範囲なので、「小説推理新人賞」を狙う人は、「ミステリーズ! 新人賞」も狙おう。
景気のいいときは陰湿な話が好まれ、不景気のときはコメディーやお笑いが受ける。インフレの今なら、コミカルな作品が残りやすい傾向がある。(あくまで傾向、可能性の話であって、作品の出来によってはその限りではないと考える。)
文体や構成が目立つ賞が受賞しやすい。
新人賞から生まれた作家で最大のヒットは、第二十九回の湊かなえ。ミステリ+物語展開のおもしろさがカギとなっている。
また、第三十五回の悠木シュンも注目される。セリフを多用した叙述トリックで、複雑な人間関係や悪意など、世の中のイヤな面を浮かび上がらせ、プロットも凝っている。
悠木シュンは、デビューに必要なものは、「才能」と「センス」と「運」といっている。
彼女が語った気をつけるポイントは次のとおり。
・模写はやらなくていい。
構成や流れをノートにまとめるだけで十分。
・他の応募作とかぶらないオリジナルを書くこと。
・ベストセラー小説の真似をしないこと。
・新人賞にはタブーとされている題材やテーマがあることを知ること。人々の目を引いたり、情報を誇張するなどして大衆を刺激し、焚きつけ惹きつけるようなセンセーショナルな作品を新人賞に応募する人は多いため、同じような作品を書いて応募しても、よほどの引き込む何かがなければ、他の応募作と同じとみなされ前に進めない。
・タイトルはデビュー後、ほぼ出版社の改題になるので、わかりやすく覚えやすいものをつける。
・下読みが読みやすい、日記のような物語を心がける。あちこち時系列が飛ぶ作品は好まれない。
・主要キャラクターは少ない方がいい。最小限でシンプルに面白い話がオススメ。
・ネガティブなキャラは避ける。ポジティブな主人公のほうが読みやすい。
・うまくなりたいなら、短編でいいから 話を一つ完成させる。
・モチベーションは、なりたい未来の素敵な自分を想像する「妄想」と、尊敬する誰かの栄光と挫折の話を思い出し、最初は誰でもうまく行かなかったことを「共感」して維持する。
・やる気が一番大事。
・発想力、構成力、キャラクターが作品には大切。
■新人賞でのタブーといわれている題材
未成年者の非行(喫煙・飲酒・暴走族)DV、虐め、セクハラ、パワハラ、引き籠もり、自殺未遂、不倫、ストーカー、オタク、フリーター、ホームレス、売春、水商売、オカマ、同性愛、鬱病、統合失調症、性同一性症候群、カルト宗教、養護施設の主人公設定。
連日、ワイドショーなどで取り上げられているネタであり、センセーショナルな題材であるほど、他の人も思いついて応募してくる。つまり、他の作品と被りやすくなるので、受賞の可能性が遠のくことがある。新人賞で応募される半分は、こういった題材で書かれたもの。
ただし、タブーをテーマにしていても、構成やキャラクターの魅力が他の作品より優れているならば、受賞することもある。
既存の本は、「泣ける」「感動する」「共感する」作品が、読者受けする。
対して、新人賞では突き抜けた作品が好まれる。
ぶっ飛んだ作品、尖った作品を書かなくてはならない。
■選考について
選考委員は誰が努めているのかを知っておくこと。
小説の採点方法には、減点法が用いられている。
きちんとした作法で書かれた作品は、ストーリーに意外性がなくても三次選考までいく。
問題は、選考委員がどういう判断をするのか。
将来性で見る人もいれば、ある一定のレベルに達している作品を選ぶ人もいる。
ぶっ飛んだ作品を好む人、そうでない人、三人いる選考委員のうち二人がイマイチと言っても、大絶賛する作家が一人いれば受賞することもある。
こればかりは「運」である。
もし、最終まで残った作品であれば、注意された点を改善して、他の賞に応募すればいい。すると、受賞するかもしれない。
■物語の作り方
自分はどんな作品を書きたいかイメージする。映画でも漫画でも小説でもなんでもいいので、下敷きにする作品を一つ以上持っておく。
真似をするわけではなく、「あなた」というフィルターを通して新しいものを作っていくのである。
小説は、「実話にフィクションをプラスするから面白くなる」のだ。自分が何が好きで、どんなことにくわしいのか考えてみる。
自分が知ることから話を膨らませると、リアリティが増す。
学生なら、自分の今を物語にぶつけるといい。
大人はかつて学生をしていたけれど、現役と比べると鮮度が落ちている。
学生を主人公にした青春ものは、現役学生が一番みずみずしい文章で書けるはず。
二十代なら社会人の設定で、三十代以上は人間の汚さをこれでもかと書き綴ればいい。
特殊な仕事や経験は、選考委員が知らない世界を書くことで差別化ができ、受賞しやすくなる傾向がある。
物語には、大きな謎と小さな謎の二つを必ず入れること。
二つには意外な繋がりがあり、すべての細かい謎が一本の糸で繋げられたら最高である。
最初のうちは別々に解決する話を書き、慣れてきたら、うまく繋げられるようになる。
物語をぐいぐい読ませるためには、何かしら事件が起きてそれがどう解決されていくのか、という作りにするのが重要。
■短編賞のメリット
長編に比べて、応募者数が少ないから。
枚数も五十から八十枚と少ないので、数カ月もかけずとも、早くて一週間で書き上げることができる。
短編賞を受賞した場合、長編小説とちがって改稿して一冊の本を出すことができない。
選択肢は三つ。
・受賞した短編をベースに長編を書く。
・受賞作を一章として、連作短編集を書く。
・他の短編を書き、短編集として出す。
小説は、長編、連作短編集、短編集の順に売れるという。
また、新人賞を取ると、担当編集者が付き、親身にサポートしてくれる。当然、ダメ出しもされる。大事なのは、諦めない心を持ち続けること。
■大事なポイント
・書き出しの一行で読み手の心を掴むこと。
これから何が起きるのだろうと期待させる一文を書くように。
・冒頭に日常を持ってきてはいけない。
インパクトあるシーンから始める。
目覚めて支度するや、家族でご飯を食べる場面からも避ける。主人公の夢や妄想、ポエムのようなプロローグもよくない。
・句読点に気をつけよう。
読点「、」が少ない、もしくは読点のない長文になりがち。意味が通るかどうか読み手を考え、つける意識を持つこと。推敲するときに確認を忘れないこと。
・会話文は誰の言葉かわかるように。
~と言った。と書かなくていい。意味のない返事や叫び声、ため息もいらない。
誰がどんな具合に声を発したのか、感情などを入れるといい。
・文末を気をつけよう。
~だった。の連続にするな。文章が単調となりリズムが悪くなる。体言止めも多用してはいけない。
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