サポ限に書いていたこと27 物語の型・4
「ゴシック・ロマン」は、十八世紀から十九世紀にかけて、ヨーロッパで流行した神秘小説、中世ゴシック建築の古城や大きな屋敷を舞台に、信仰や伝承、迷信を描いた幻想小説、または幽霊や怪物など超自然的なものを書いた怪奇小説。現在のサイコサスペンス、ホラーの源流です。
イギリスのホレス・ウォルボール『オトランド城奇譚』が先駆けで、『フランケンシュタイン』『ジキル博士とハイド氏』『ドラキュラ」などが有名。
おどろおどろしい面もあるが、恋愛要素もあり、最後はハッピーエンドで締めくくられます。
「ビルドゥングス・ロマン」は、教養小説と訳されます。
教養が溢れた小説ではなく、若者である主人公がさまざまな体験を積み重ねながら内面的に成長し、自己形成をし、人格を発展させていく過程を描いた成長物語です。
大河ドラマのように、幼少期から没するまでを描き、未熟だった主人公が段々とおとなになっていく過程を描きます。
十八世紀から十九世紀にかけて、ドイルで成立したジャンルで、伝記形式で書かれている。トーマス・マンの『魔の山』やヘッセの『デミアン』など。西洋では主流だが、日本の作例は少ない。
「イッヒ・ロマン」は、十九世紀初頭のドイツで流行した文学形式。イッヒとは、英語の「I」であり、「わたし」という意味。
三印象で語ることの多かったヨーロッパ文学にあって、主人公が一人称で自身の体験や生活を語った作品。ゲーテの『若いウェルテルの悩み』が有名。
一人称小説ともいうが、主人公=作者ではなく、日本独自の私小説とは異なる。
一人称で書くと、実体験のような印象が出る。告白帳で書く小説に向いているが、主人公の視点でしか書けないので、話は小さくなる傾向があります。
「ハードボイルド小説」は、第一次大戦後の一九二〇年ごろ、アメリカのパルプ・マガジン『ブラック・マスク』誌に掲載されたタフで非常な主人公たちの物語。一人称小説で書かれている。
簡潔で客観的な行動描写で主人公の内面を表現し、ハードボイルドスタイルを確立したのがハメット。書いているのは外側だが、浮き彫りになるのは心の中。
従来の思考的探偵に対して、行動的でタフな探偵を登場させ、のちに私立探偵者に発展する。文体だけを踏襲した犯罪小説の流れもあります。
「ロマン・ノワール」は、第二次大戦後のフランスで、ハードボイルドの影響を受けて発展したジャンル。ロマンは「小説」、ノワールは「黒」。暗黒小説と呼ばれる。一人称ではなく、三人称で書かれる。
ハードボイルドとは違い、犯罪者を主人公とすることが多い。仏の人が犯罪を犯してしまい、転落していくという人間社会の闇の部分を描いた作品もある。
基本的にミステリーの一つだが、推理色は少ない。
明治以降、日本の文学者は海外文学を翻訳しては、文学理念や形式ももほうしていったので、写実主義やロマン主義、自然主義、心理小説や教養小説などが日本の文学史にもみられます。
インプットをしたからこそのアウトプットです。
物語の型は、四十八しかないといわれます。
それぞれ足したり引いたり掛けたり割ったりしながら、キャラクターと設定を盛り込むことで、私たちは物語を無限に作っている。
ゼロからお話を考えるのではなく、すでにある物語の構造や型を使って、自分が描きたい作品を作っていけばいい。
ご存じの方には、復習的な話だと思います。
参考までに、ご拝読ください。
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