物語の構造について・2

■面白いストーリー

 

 読者が「この先どうなるだろう」と思え、キャラクターに感情移入できることが重要です。

 人気ある物語の型は、五つあるといいます。


 一つめは、 サクセスストーリー型。

 才能ある主人公が、一生懸命頑張って目標に向かう。ライバルが成功を阻み、次々と待ち受ける障害を積極的にクリアすることで、目標に向かっていく話です。

 何かしらのハンディーキャップを持った主人公が、目標から一番遠いところにいると、道のりが遠く、障害がたくさんあって大変な状況の中、頑張る姿に感情移入しやすい傾向がある。


 二つめは、巻き込まれ型。

 普通の生活をしている主人公が、突然容疑をかけられ、容疑をは明日ために必死に頑張らざる得なくなり、努力を重ねて元の生活を取り戻していく。面白いポイントは、必死さにある。


・三つめは、ロードムービー型。

 いわゆる旅ものです。主人公は目的地を目指して旅をしており、人生と同じく困難が待ち構えており、それを乗り越えていく所に面白さがある。


・四つめは、空間限定型。

 舞台が限定されたある場所に主人公がやってきて、トラブルが起きる。そこにいるみんなで力をわせてトラブルを解決し、主人公は去っていく。


・五つめは、相棒もの。

 主人公の他にもう一人、副主人公がいて、二人が対立したり葛藤したりする。二人、もしくは仲間たちと旅をするものが多く、喧嘩したり仲直りしたりするなど、変化があるところが面白さを生んでいく。


 空間限定型と相棒型には、同居ものがある。

 同居する二人が喧嘩したり仲直りしたりすることで話を盛り上げていく。

 サクセスストーリー型と相棒型には、成功する人間とそれを助ける人間がいて、助ける人間は障害であり、恋愛対象にもなる。

 二人は同じ目標を持つ相棒でもある。


 五つの型を基準に、組み合わせることで物語を生み出すことができます。

 また、ジャンルも考えてみます。

 現代ドラマ、シリアスかコメディー、それとも恋愛ものかミステリーか、SFやファンタジーにするのか、人情ものにするかなど、組み合わせ次第で物語のバラエティーが増していく。

 ありふれたネタも組み合わせや見せ方の発想を変えるだけで、他にはない作品となるでしょう。



■物語の注意点


 ジャンル問わず、物語を作る上で注意ポイントが三つあります。


・無駄を省く

 あってもなくても物語の進行に影響しない場面は無駄です。

 思い切って削除しましょう。

 冒頭に出てきたけど、その後に出てこない人物は、いなくても話が成立するのであれば、削ります。


・矛盾をなくす

 読み返すと辻褄が合っていないことは、たまにあります。

 前半と後半で人物設定が変わっているとか、キャラの性格とは違う行動を意味なくしているとか。大きな変化はともかく、小さな変化は気づきにくいので、書いてる途中や書き終えたら声に出して読みながらチェックします。


・ご都合主義をしない

 作者にとって都合のいい、不自然なものをいいます。

 普通はこんな展開はありえない場面がでてくると、読みては興ざめしてしまうため、なぜそうなるのかの必然性を考えます。

 現実なら、偶然、たまたま起きてしまう場合もあります。が、物語は虚構なので、自然現象も現実以上に作り込む必要があります。


・伏線を張る

 あとのシーンのために布石をさり気なく出しておくことを、伏線といいます。伏線を張っておくことで、矛盾やご都合主義をなくせるでしょう。

 物語の前の方で伏線を見せておき、なにかがあったときに鮮やかにつながると、作品は面白くなる。

 ただし、計算した上で伏線を入れないと、回収D系亡くなります。


・サプライズを用意する

 最後のオチともいます。オチは作品の中から探すと、うまくまとまります。冒頭でひどい目にあったことが、最後には、やり返して胸のすく結末をみせるといった具合です。


・意外な展開を用意する

 読者はどこかで、結末を予想しているものです。

 きっとこうなるだろうなと予見したとおりに話が進めば、やっぱりそうなったかと読み手は思い、意外性を感じません。

 真っ直ぐ行くと思わせて、思わぬ展開をみせることで、意外性を感じます。ただし、思わぬ展開をすることが主題になると、盛込んでいたサブエピソードが蛇足っぽく感じてしまうことがあるので、注意が必要です。

 いくら意外性が必要だからといって、「そんなことはありえない」という結末では、リアリティーに欠けてしまい、面白くありません。

 意外性もあり、リアリティーもある作品を目指すべきです。


・謎を用意する

 先の見えた展開、あらゆる情報を全部さらけ出していては、読み手は興味をなくして読んでくれません。

 次を読みたいと思わせるには、「この先どうなるのだろう」「どうして?」と思わせることが必要です。

 いくら読者を引っ張るためとはいえ、秘密ばかりではなにが書いてあるのか分からず、読者をいらつかせてしまいます。

 ミステリーでもないのに謎解きをしなければならないのか、と思わなくて良いです。主人公の目的をはっきりさせ、目の前に障害を設ければいいのです。

 主人公はなにをしたいのかがはっきりしていると、その実現が困難であればあるほど、読み手は「どうなるんだろう」と自然に思えてきます。

 予想は裏切り、期待は裏切ってはいけないのです。


・ミスリード

 誤った解釈をさせるように、読み手を誘導することです。

 推理小説で用いられ、凶器から犯人像を想像させて、誤った犯人を探させるなどです。

 また、別な出来事を盛込んで、読み手の興味や関心をそらせば、単純な仕掛けでも気づかれにくくなります。

 主人公が帰還する話をメインにしてそちらに注意を引き付けて、ラストにサプライズを仕掛けることで、冒頭が伏線だと気づかれにくくするやり方もあります。


 ・新しさ

 多くの作品は「欠如→出発→競争→(勝利→)帰還」 でできています。構造で考えれば、どんな話も「いつかどこかで聞いた話」であり、新しさをかんじません。

 ですが、設定やジャンル、キャラクターなどを変えることで、印象は一変するのです。

 見た目を新しくした入れ物に、同じ中身を注ぎ込むだけで、同じ作品といえなくなります。

 


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