児童文学について・1
児童文学とは、文字通り児童、子供をターゲットとした文学作品を指す。
範囲は幅広い。
幼児が読む絵本や、詩や童話、新たに創作された児童文庫はもちろん、神話や昔話などの伝統的に受け継がれてきたもの、元々は大人向けだったものが子供向けに変化したものなども含まれる。
近年の児童文学は、ライトノベルの大ヒット作が内容を一部改変して刊行された、ラノベ風のイラストを採用した作品や、ラノベと同じくキャラ立ちした児童文庫小説などが目立っている。
自分が書きたい作品の方向性が、児童文庫小説やライトノベル、それとも児童文学なのか、考えてみるのもいいだろう。
ライトノベルは中高生をメインにしながら、それ以上の年齢層もターゲットとしている。
キャラ文芸やライト文芸などのエンタメ小説は、大人をターゲットにした、幅広い層に向けて作られている。
一方、児童文庫小説は、小学生から中学生あたりをメインターゲットにしている。
ライトノベルや、キャラ分家、ライト文芸と同じように書いても上手くいかないため、注意が必要である。
児童文庫とは、児童文学の一ジャンルであり、新書サイズでレーベル名に「文庫」がついているレーベル作品を指す。
エンタメ系を扱い、キャラ立ちしたラノベ寄りな作品が多く、ジャンルにはミステリーや恋愛、ホラーなどがある
児童文庫は、講談社の「青い鳥文庫小説賞」、集英社の「集英社みらい文庫大賞」、KADOKAWAの「角川つばさ文庫小説賞」、小学館の「小学館ジュニア文庫小説賞」などがある。
ライトノベルと同様、各レーベルごとに新人賞を主宰し、そこで結果を残すことでデビューへの道が開く。
一方、児童文学は内容が硬め。ノンフィクションや、ハイファンタジーのような異世界ものは、こちらが扱っている。
児童文庫はハードカバーで刊行され、のちに文庫サイズ、あるいは児童文庫サイズになるときは読みやすい表現、表紙もファンシーなものに変わるなど手が加えられる。
長い歴史をもつものが多く、それぞれ独自のルールがあるジャンルのため、しっかりした調査や戦略が必要である。
とくに子供だましは通用しないジャンルなので、「子供が読む話なら簡単だろう」といった考えは持ってはいけない。
児童文庫と児童文学、どちらで出版しても「児童文学作家」と呼ばれ、垣根が低くなっている傾向があるようにみえるかもしれない。
とはいえ、児童文庫と児童文学は別物と思った方がいい。
課題図書に選ばれるのは、児童文学が多い。
課題図書とは、読書活動の振興などを目的に、一九九五年にはじまった読書運動『青少年読書感想文全国コンクール』の主催者が選定した本。選定は、選定委員会が学校図書館に適しているとして選んだ選定図書の中から、絵本、科学的なもの、翻訳ものなどをバランスよく選んでいる。
ちなみに、古典や名作、およびそれに類するものは対象外。新しい本にも触れてほしいことで設けられている。
児童文学から大人の文芸まで数多く手がけている村山早紀氏の著書『100年後も読み継がれる児童文学の書き方』に、次のような文言がある。
「いまの時代の子どもへ、この先の未来へ、手紙を書くように物語を綴り、置いていく――それが子どもの本を書くという仕事です。
少しだけ古い、先の時代を生きたおとなである、わたしやあなたからの時を超えた贈り物。
それを生み出し続ける職業を、児童文学作家と呼ぶのだと私は思っています。」
あらゆる小説や漫画、アニメや映画、ドラマなどに共通する考えかも知れない。が、とくに心の栄養となるものを届けようとする思いが強いのが、児童文学作家だ。
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