児童文庫について・3

■これだけは曲げられないこと

 

 とりあえず、曲げてみてから考える。

 一回曲げてみて、 ここの部分は曲げたら折れるなってなったら、それ以降は曲げないように。この曲がり方は実は楽しいってこともあるけど、曲げまくった先に「ここだけは曲げると故障する」みたいな部分が出てくると思うから。それが具体的にどこだって言われると、あんま覚えてない。


 睡眠時間。八時間必要。

 そこを六時間でやれと言われたらやめる。でも、提案されないと、なかなか新しい自分を発見できないかもしれない。

 こんな人物は書きたくないと思っても、書いてるうちに新しいチャクラが開く感じがあるから。


 とくに無茶な相談をされたこともない。編集も大人だから話せばわかるし、むしろ育てていただいていますので、勉強できるところはしていきたいです。



■児童文庫レーベルが増えていることについて


 人が集まってくるは活性化で、いいと思う。


 文庫レーベルが増えるにつれて、ジャンルの幅が広がるのが文化の美しい形。似たり寄ったりになるのはもったいない。


 児童文庫作家はがいろいろなレーベルで書く人が増えてきた。

 けど、自分と合うところがあったら、そこで書くだけかもしれない。多様性が出てくると楽しい。


 いろんなジャンル、自分が好きなものを出すことを諦めないでやっていかないといけない。


 レーベルの数自体は驚かなかった。文庫レーベルを持っているのは、約二十社。それでも出版社数からしたらすごく少ない。

 ただ正直、こんなに似たテーマの本が出てるんだ、と思ったことはあります。「キミノベル」は立ち上げのとき、いろんなお話を届けたい思いが編集部にありました。その中でヒットしたものがカラーになっていくだろうと。今もその気持ちは変わってないですが。

 比較的男の子主人公のものも多いですし、他社さんがあまりやらないディストピアものや魔法ファンタジー、YA、古典映画のノベライズなどをやってます。できるだけ幅広さは維持していきたい。



■執筆の時間や一日に書く枚数について


 あまり決めてないが、太陽が出てる間に書く。元会社員だからか、朝起きて働き、日が暮れたら帰るルーティンを崩せない。

 時間自体は決めず、ノッてるときはずっと書いている。今日はもうだめだと思ったら諦めます。だから一日に何枚書くも特に決めてない。


 〆切まで「何枚✕何日」と計算し、カレンダーに「ここで初稿終わり」と書いている。執筆時間は、四時間は超えない。人間ってどんなにがんばっても、集中できるのは一日三時間。

 だから三時間、がんばっても四時間くらい。それ以外の時間は、なにか見たりとか読んだり、ぬいぐるみと遊んだり。


 子供を学校に送ると八時くらい。そこから夜の一時や二時まで、だいたいずっと。

 でも、子供が帰ってきてご飯を作るなど家事の間はちょっと抜ける。家事はあまりしてない……家事は嫌い。晩ごはんの時間が早く、五時半に食べたあと宿題を見るなどをすると、再開は八時か九時。実際、三~四時間で凝縮するとできるはずの仕事量しかしてない。 Twitterも見ちゃう。ダブルモニターにしたら、原稿横にずっとTwitter画面がある。それがよくない。途中、昼寝したり意識失ってたりする。



■電話とメール、どっちがいいか


 コロナ前は会ってたが、コロナになってからは電話かzoom。メールは、すべての指摘を同じ重さで読んでしまう。けど、実際に話してみると、「ここはさらっと言っただけでそんなに大切じゃない」「ここは重要」みたいな違いがわかる。だから話した方が柔軟にできる。



■タイトルか内容、どちらが先か


 タイトルは作家が決めない。編集部と営業部で話し合い、作家と担当はその様子をぼんやり眺めている。


 いろんな人が三十個ぐらい出し、「これはいい、あれはよくない」と話し合う。決めてもそのとおりにはならない。

 最終的に、編集長の鶴の一声で決まることもある。


 作家と編集側、双方が百個ずつ出し、どうするかを話し合う。

 タイトルは、それだけ本気で考えないといけない。


 ある編集曰く、一巻の売り上げは「イラストが七割、タイトルが三割」。その編集はパッケージングにこだわりを持っており、自負心で言ったと思われる。本文も0.5パーセントくらいはあるはず。



■ひとの児童文庫を読むか


 いろんなシリーズを一巻、読んでいる。

 ただ、最近は増えすぎて難しくなってきた。


 児童書文庫に限らず、仕事の合間に急激にハマるものが突発的にあらわれると、ずっと読み続けるかも。


 例えば恋愛ものを書いてるときは、恋愛ものには一切触れない。

『十三日の金曜日』『ジョーズ』『オーメン』など、常に真逆のものに触れて、自分のエネルギーを持続させている。


 自分が書いているときに、他の作品を読むと引きずられる。なのであまり読めない。


 知り合いに天ぷら屋を経営している人がいて、「普段なに食べてるの?」と聞いたら、「お茶漬けとインスタントラーメン」と答えていた。そういうことなのだろう。


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