も~っと推敲する・3
文書の校正と校閲作業は最後の総仕上げ。非常に重要であるにもかかわらず、おろそかにしている人は多いです。
書くことにお膨大なエネルギーを消費し、持ち時間の大半をつかってしまい、アディショナルタイムしか残っていないのが原因と考えます。
たしかに現在、カクヨム甲子園やラノベの応募作品では、誤字脱字があったり文章がおかしかったりしても、面白そうな作品を取る傾向があります。とはいえ、書籍になる前には原稿の修正を求められ、あとで手直しをするのですけれども。
大半の作品は、最終選考に辿り着く前に落とされます。
でも、文章の校正や校閲、推敲を行えば、他の作品よりも面白さが際立ち、何倍にもなって戻ってくるでしょう。
校正とは、誤字脱字等の間違いを正すこと。
推敲とは、文章の内容を練り直すこと。
一、語字、誤入力の確認
手書きならば、書き損じです。でも現在はスマホやPCで執筆を行っている人が多いと思います。長時間の執筆作業による疲労と寝不足から起こるうっかりミスです。
読み直せばすぐに見つかるので直します。
読み直す場合、一文字ずつ指さしながら確認してください。
「なくなった」を「なくった」と脱字になっている箇所は見つけにくいです。一字一字、音読してみつけては直してください。
「スヌートフェソ」と間違って打っていた場合、「ス」「ヌ」「ー」「ト」「フ」「ェ」「ソ」と一時ずつ確かめ、「スマートフォン」と直します。文字に埋没していると、どこが間違っているのか気づきにくいことがありますので。
また、漢字の「口」とカタカナの「ロ」、漢字の「二」とカタカナの「二」、長音の「ー」とダッシュ「―」マイナス「-」、山カッコの「〈 〉」と不等号の「< >」の間違いにも気をつけましょう。
二、漢字の変換ミスの確認
スマホやPCで詩筆作業をしていると、たくさんの漢字が出てきます。自分が書いている文章で、どの漢字が正しいのかを選ぶのは、作者自身が判断します。
たとえば「対象」「対照」「対称」「対症」「対償」「大賞」「大正」これらはすべて、読みは「たいしょう」です。文脈を確かめながら正しい漢字に直します。
「全然」は否定を伴うので、「全然面白くない」が正しいとされます。戦前は「生徒が全然悪い」と使われていました。現在は「全然いいよ」とも使います。
「煮詰まる」は議論がまとまる意味なので、「ようやく議論は煮詰まった」と使います。現在は、「行き詰まる」との混同から「考えが煮詰まり、まとまらない」と使うこともあります。
「姑息な」は「一時しのぎ」という意味です。でも、「ずるい」の誤用が広まっているため、一時しのぎの意味で姑息を使うと「この作者は言葉を知らない」と思われるかも知れません。
とにかく、迷ったら辞書をひくこと。
むずかしい言葉はもちろん、すでに知っている言葉こそ調べてください。間違ったおぼえ方をしていたら、正しくおぼえ直してください。
三、地名や人名の確認
記憶はあてになりません。人は忘れるものだし、覚えていることも正しいとは限らないものです。
地名や登場人物等の固有名詞は、確認しましょう。
間違わないためにも、設定表を紙に書いて用意してください。
現代ドラマの場合、地名などはネットや書籍で確認すること。
間違うと、読者に不快な印象を与えてしまいます。
四、数字の漢字表記の確認
基本、数字は漢数字を使います。基本というのは、書籍になったとき縦書き表記になるため、縦書きとしてはという意味です。縦書きの書籍にも、漢数字ではなくアラビア数字表記のものもあります。
ウェブ小説は横書きで、縦書きに読む機能もありますが、多くの人は横書きで読むことが多いかも知れません。
大事なのは、読者の読みやすさ。表記を一定にすることで読みやすくなります。
「午後二時」と時間で漢数字表記をしておいて、別のところで「3時に待ち合わせね」とすると、稚拙な印象を読者に与えます。
熟語に用いるときは漢数字「一度」「五週」などの表記にし、日時では「12月」「8時」にするなど、意図を持った使い分けが大事になります。
書籍だと、数字は漢字表記が読みやすくなります。ただし、科学的検査の数値などは漢字よりも数字表記が読みやすでしょう。
漢字とかなのバランスの確認
漢字は使い過ぎないほうが無難です。
全体文章の三割位が目安でしょう。
漢字が多いと文章が重く、読みにくくなります。
とくに接続詞は、なるべくひらがなにします。
作者はむずかしい漢字も知っているし、そっちのほうがカッコいい気もしますが、呪文の詠唱シーン、乙女系小説や私小説など別な場所で披露してください。
五、句読点の位置の確認
句読点には、「意味を通じやすくするための補助」「文章のリズムを整える」役割があります。
必ずしも厳守する必要はありません。
句読点が個性になる場合もあるからです。
読点を打つか打たないかは、次の四点で確認します。
意味や文の切れ目かどうか。
意味が通りやすくなるかどうか。
リズムとしてどうなのか。
意味が正しく伝わるかどうか。
★最終推敲
推敲は、読者の立場で確認すること。書き手の立場で確かめてはいけません。
・まず三つのことを確認する
どんなターゲット層に向けての文章か。
どんな効果を期待しているか。
最終的な目的はなにか。
・次にターゲットである読者に合わせて、次のうち最低一つ以上は盛り込まれているか確認する
読者にとってどんな価値があるのか。
新しい情報があるのか。
得になる情報なのか。
ためになる情報か。
好奇心をそそる内容があるのか。
誰かに話したくなる内容なのか。
・読者に応える文章になっているか確認する
作者であるあなたの作品に「何か」を求めているのが読者です。タイトルに作品内容を書いたのなら、作者は答える必要があります。そのために「問題提起」と「答え」を盛り込まなくてはいけません。
すべての読者が賛成してくれるかはわかりませんが、作品に意味をあたえることが読者に応えることになります。
・言葉の定義をしているか確認する
作中内のキーワードとなる言葉を定義しておくと、読者の理解も深まります。書くべきテーマに広がりを持たせたいときには有効です。定義付けは必ずするものではないけれども、あると便利。
・論旨が明確か確認する
フィクションや物語に論理性はいりません。それでも、書かれている文章の大半には論理性は必要です。
主張があるなら、なおさら重要になってきます
論理的な文章に必要な要素「結論」「目的・必要性」「根拠」「方法」「データ」が書けているか。
・中学生でも理解できるか確認する
読み手が十三歳でも、理解できる文章が望ましいです。
不必要なカタカナ語を使っていないか。
指示語を多用しないか。
形容詞ではなく、数字で表現しているか。
要点を強調し抑揚をつけているか。
具体的な表現を心がけているか。
内容をつめこみすぎていないか。
・書き出しと締めが関連しているか確認する
書き出しである「問題提起」と締めの「結論」が関連している必要があります。読者は多忙で、読みたくないと思えば去っていきます。
・文法を確認する
主語と述語の関係はできているか。
敬語の使い方は正しいか。
重複表現はないか。
・文体を確認する
読みづらさを意識して行います。
一文の長さはいいか。
同じ表現の多用はないか。
言葉遣いの間違いはどうか。
事実誤認はしてないか。
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