も~っと推敲する・2

 初稿は、無駄な描写や設定、台詞で書かれています。

 初めから完璧な原稿を作りあげると愛着ができてしまい、推敲するときに削れなくなります。

 無駄な駄文でも構わないので、初稿は二十万字、二十五万字、三十万字とたくさん書いて完結させてから、第二稿、第三稿で徹底的に削っていきます。



★第三の推敲は、校正と校閲チェック


・説明不足はないかを確認

 作品の基本設定である、「出来事がおこった時間」「場所」「登場人物」「どんなことがあったのか」「なにが起きたのか」が漏れずに書けているのかを確かめます。

 とくに、季節と情景が描かれているのか。

 書かれてあると読者はイメージしやすくなします。

 また、書き損じていたら話が成り立たない大前提が抜けていないかもチェックします。



・説明で終わってしまっているかを確認

 描写すべきところを説明で終わらせていないかを確かめます。

「楽しかった」「悲しかった」「うれしかった」「くやしかった」とセリフで書くことで内面を表す場合はまだいいのですが、地の文で「彼は楽しかった」と書いても、どう楽しいのかは読み手には伝わってきません。

 そんなときこそ、描写します。

 楽しいのなら、楽しい状況をありのまま書きます。

 悲しいなら、どう悲しんでいるのかを文章で書くのです。

 文章の写生が描写であり、「楽しさ」「うれしさ」「悲しさ」「悔しさ」を表現されることで読者は、登場人物の様子を想像することで伝わるのです。



・読者に伝わる文章か確認

「庭に花が咲いていた」

 と書けば、意味は伝わります。

 でも、どんな庭に、どんな花が咲いていたのかはわかりません。

「庭園にブルーのネモフィラが咲いていた」

 と書けば、読者にはイメージが湧きます。

 でも、どんな庭園なのか、ネモフィラとはどんな花か、知らないと想像できません。

 だからといって、詳細に書きすぎれば、描写ではなく詳しい説明となり、想像力が働かなくなってしまいます。

 どこまで描写するのか、加減が大事になります。

 また、描写の文量も作品によって変わります。

 児童文庫とラノベに過剰な表現は逆効果になり、少女系と乙女系、ライト文芸にはもう少し描写が必要であり、私小説になればさらに書き込みが求められます。

 また、ただ単に文章で写生しただけでは伝わりづらいため、「~のような」といった比喩や擬音などを用いる方法もあります。

 比喩とは、わかりやすく伝えるために例えるための方法です。

 ただし、余計にわかりにくくなる場合もあります。なぜなら、読者が知っているものを用いた比喩でなければ、伝わらない文章になるからです。

 使うときは、読者が想像できるもので喩えましょう。



・登場人物の台詞を確認

 血の通った人間の言葉が書けているか、を確かめます。

 説明と長台詞は、短く簡単にできないか考え直しましょう。

 そもそも台詞にしなければならないのかも、見直してみます。

「それで」「そうそう」など、日常でつかう口語をそのまま書くのは避けましょう。書く意味がある場合は必要ですが、なくても通じる場合は削ります。水増し表現は、読者に伝わりづらくする原因となります。

 また、誰が言った台詞なのかわかるようにします。

 話し方に特徴をつけるだけでなく、台詞の前後にある地の文を読めばわかるようにします。

 わかりやすく、短く、意味の通る台詞になるよう、漢字や句読点などの確認もします。



・文章のリズムを確認

 語尾が「~た」で終わる文ばかり続くと、単調な印象を受けます。

 基本は過去形で書き、ここぞという場合に体言止め、現在形を用います。なので、体言止め、連用形、現在形の多用は避けます。

 作品によっては、「だ・である調」ではなく、「です・ます調」で書かれた作品もあります。

 基本、「です・ます調」の文章に「~だった」のような書き方は使いません。逆もしかりです。

 ですが、混ざって使う方法がないわけではなく、実際にそのような書籍もあります。

 たとえば「だ・である調」の地の文で、誰かの台詞「~します」みたいなのをまぜて書くやり方です。

「です・ます調」の場合は、「だ・である調」を混ぜやすいです。「でした」が「です・ます調」の過去形なので、違和感を感じにくいため自然と読めます。

 わかった上で、意図を持って書かない限り、まぜて使わないようにしましょう。

 読者に伝わるかどうかが大事です

 書いた文章がおかしくないか確かめるためにも、音読をしてください。

 また、文章で倒置法や比喩など、いざというときにつかうから効果のある文章となります。何度も使ったり、なんでもないときに使うと、「作者はカッコつけてるのかもしれない」と読者に思われてしまいます。

 使うときは、ここぞというときに意識して使うこと。



・意味は通っているか確認

 文書は読めるのに、書いてある意味がわからない文章は読者には伝わりません。

 自分は何が言いたいのかを自問しながら読み直してみるのが良いです。

 たとえば三段論法の「AはBである。BはCである。ゆえにAはCである」は正しいのですが、書いた小説では、「AはBである。BはCである。だから、AはCでない」となっていたら、読者は戸惑ってしまうわけです。

「私は人間です。人間は生物です。だから私は人間ではない」という展開で物語が成立する場合は、SFかミステリー作品ぐらいでしょう。



・視点がブレていないか確認

 一人称小説で書く場合、その人が見聞きし、体験したことだけを描写すること。一人称の主人公には見えないことやわからないことを、決めつけるような文章を書くと、押し付けがましくなるので気をつけましょう。

 第三者の心情「彼は早く帰りたいと考えていた」と書かれていたら、作品のカテゴリーはSFかもしれません。でも現代ドラマだった場合、視点がブレていることになります。

 視点人物に、見えないもの、聞こえないもの、知覚できないことを書いていないか、確かめてみよう。



・設定との齟齬を確認

 耳のきこえないキャラクターが、電話で話をしていたらおかしいです。

 初対面のキャラクターが「久しぶり」というのも不自然です。

 そう答える理由がのちに明かされる作品であり、伏線として書かれてあるのは問題ありません。

 伏線でもなかったのなら、読者は「あれは何だったのか」と怒り出すでしょう。



・そもそも必要な文章か確認

 時間をかけて書いた長文だから作品に入れてみたものの、本当に必要なのかを確認します。

 おもいきって削ったほうが、作品としては読者に伝わりやすくなる場合があります。

 必要ならば削る必要はありません。

 無駄な言葉、重複は削ります。

 気をつけたいのは、主人公が「気がついたら〇〇にいた」「あの後の記憶がない」など、ショックを受けて簡単に記憶が飛んでいる傾向が多い点です。

 人の記憶は、簡単には飛びません。

 交通事故で頭に強い衝撃を受け、高次脳機能障害に陥っている場合は、事故前後の記憶をおぼえていないことはあります。同じように頭に強い衝撃を受ければ、記憶が飛ぶことは考えられますが、その場合は重症です。

 安易に記憶を飛ばすキャラを書くと、ギャグに見えるか、記憶が飛ぶキャラとして登場しているのだろうと読み手に思われてしまいます。

 


・改行の確認

 改行が全くない文章は紙面が黒く、重い印象を与えます。作品によっては読む気が失せます。もしくは、読むために体力精神力を整えた上で、挑まなくてはなりません。いわば、読者は試されている立場となります。

 気軽に読もうとおもっている読者なら、改行のない文章を書いていたら、読んでくれないでしょう。

 改行によって適度に余白を出し、読みやすくします。

 ウェブ小説を読みなれている人なら、余白が多いほうが読みやすく感じます。

 だからと言って、改行が多すぎるのも問題です。

 意味のかたまりの文章ごとに改行することで、読み手に意味が伝わりやすくなります。

 四十字、もしくは六十字くらいに書かれた文書が読みやすいとされます。また人間の集中は八秒ともいわれます。

 八秒で読める文量で、意味のかたまりの段落ごとで改行するのが、ウェブ小説の改行としては適していると考えます。



・語順の確認

 日本語の基本は、最後に述語が来る以外、語順は自由です。

 語順の原則は文節の長い順を優先します。書けない場合、文節と文節の間に読点「、」を打つとおぼえましょう。


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