も~っと推敲する・1

 推敲とは、書き上がった後に行うものと考えているかもしれない。

 でもそれは、推敲の最後の最後、確認作業にすぎない。

 執筆一日目に書いた文章を、執筆二日目には読み返してから、続きを書きます。

 三日目は、二日目に書いた物を読み返してから書きます。

 これを毎日必ず、書いた分だけ推敲します。

 書き上がるまで続けます。

 このやり方を続ければ、誤字脱字はなくなります。

 余計な文章の引っかかりがなくなれば、台詞のおかしなところや物語の矛盾などに気づきやすくなります。

 少なくとも推敲には三度の手順があり、まず初稿が書き終わったあとからはじまります。




★第一の推敲で、全体をみる

 書き込んだ話の中で、どこかが足らなかったり、肝心なところか抜けていたりしないかをみていきます。



・ポイントの一つ目が「テーマ」

 読み返しながら、自分が書いた作品のテーマが何だったのかを思い出してみよう。

 テーマがわかりにくくないか。

 読後にテーマが立ち上がってくるか。

 テーマが一つに絞りきれているか。 



・二つ目は「論理」

 物語に登場させた科学知識や設定など、実際にあり得るのか。

 関連書籍で裏を取ること。

 間違っているなら、設定が根本から崩れてしまいます。

 ただし、現実にはあり得ないけれど、作中で現実味があるように工夫してあればいいです。

 物事の整合性、主人公の動機も確認します。

 前半で死んだはずのキャラクターが後半登場したり、目の見えない人が見えている行動をとったり。

 何度か手直しをしている場合、直す前の設定が残っている箇所があると、整合性が取れなくなります。

 対立したり協力したりする理由が不自然なら、動機づけの場面を書き込むなど、手を加える必要があります。

 


・三つめのポイントは「バランス」

 起承転結なら、それぞれの場面でちょどいい文量に書けているのかを見ます。

 一つの例として、「起・承・転・結」ならば「1:2:3~4:0.5~1」の文量を目安に調整します。

「起」が長い、もしくは重く書きすぎているなら、もっと短くして早めに本題に入るよう削ります。

「結」が長々と書きすぎてくどい場合、スパッと終わらせるために削ります。

「転」があっさりしすぎで短いのなら、もう少し書き足します。

 バランスを見て、「削る」「書き足す」ことで、作品にまとまるようにします。




★第二の推敲で、細部をみる


 場面を眺め、順番はこれでいいのか、面白いのか、飽きられないかなど、読者目線で見直します。

 主人公が登場する際、日常シーンを描くときに布団の中で目覚め、気怠い顔をしながら朝食を食べては着替え、いつものように慌てて電車に駆け込んで出かけ、学校ないし会社のドアをあけると死体が転がっていた、と書いたとする。

 日常シーンが長すぎると、読者は退屈に思ってしまう。

 そこで、事件からはじめる。

 面白い場面からはじめるため、読者の関心を引きやすい。

 その場面に至る前の話は、必要ならあとで書くこともできます。

 また、場面転換することで読者を焦らし、平凡な話を盛り上げることもできる。

 彼からの告白に対して、友人の答えはどっちだったのか。

 OKなのか、振られたのか。あるいは別のトラブルが起きたのか。

「Aだと思ったら実はBでした」のどんでん返しがあると、お話にメリハリが出てきます。



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