読者ファーストを心がける・2
三、文の表現力を磨く
表現力とは、「読みやすさ」「わかりやすさ」「正確さ」を持った書き方をすることを指す。
そのために、心がけるポイントをまとめる。
①一文を短くする
一文が長いと、読者の混乱を招き、「結局何が言いたいのかわからない」状態に陥る。
結果、読まれない。
長くなる要因は、「~ですが」「~なので」「~し」などの接続助詞を使って文をつなげているから。
一文の文字数の目安は、六十字以内を厳守。平均、四十字くらいにするのが良いとされる。
多くの情報が含まれる長文を整理するには
一文に書く内容は一つまで。
長くなるときは、句点「。」で文を区切ること。
一文が六十字以内であっても、読点「、」がない文は読むのに苦痛を感じやすい。読点を打って区切ったり、一文を短くするなどの工夫が必要である。
②読点を正しく使う
読点「、」を打つ場所には、ルールがある。
基本的なルールを、考えなくてもできるよう身につけることを勧める。
・長い主語の後に打つ。
・接続詞・副詞・時間表現の後に打つ
「そして」「しかし」「ところが」などが接続詞。
「ときどき」「もっと」などが副詞。
「昨日」「明日」「当時」などが時間表現。
・文と文を分けるところに打つ。
・漢字、ひらがなが続くと、意味がわかりにくくなる場所に打つ。 文の意味が変わって誤らないよう、的確な場所に打つ。
③主語と述語を近づける
主語「誰が・何が」と述語「~する」が離れている長い文章は、読み進めるうちに、誰のどんな話なのかが伝わりにくくなる。
お友達である主語と述語は、できるだけ近くに置くように。
④主語と述語のねじれに気をつける
長い文章の場合、主語と述語が正しく対応していない、ねじれが起きることがある。
主語と述語が離れているときに起こりやすいため、注意が必要。
⑤修飾語と被修飾語を近づける
修飾語とは、他の文節をくわしく説明している語句のこと。
被修飾語とは、説明される文節のこと。
修飾語は被修飾語の直前に持ってくるのが基本である。
⑥必要な主語を省略しない
日本語は、主語を省略して話すことが多く、省いたほうがスッキリする場合もある。ただし、会話文や説明文内で主語が変わる場合、誰になにを伝えたいのかわかりにくくなるため、省略してはいけない。
見知らぬ人に、相手の知らない話を説明するときのことを思い出すといい。主語を省略しては、相手は理解できない。
⑦まわりくどい表現をしない
「~という」「~すること」「~するもの」「~のほう」「~のよう」「~のこと」などが多用されると、まわりくどくなる。水増し表現ともいわれ、なくても意味が通じる部分は削ること。
また、文末に「~ようです」「ということになります」「~と考えられます」「~といえるでしょう」など直接的な言い方を避けた助長表現を使わないように。
丁寧な印象を与える言葉を過剰に使われると、読んでいて不快に感じる場合がある。とくに小説の地の文にはつかわず、明確に言い切る表現をすること。
おなじく、語尾に二つの動詞が重なるとくどくなるため、使わないように。
⑧曖昧な表現をしない
抽象的すぎて意味をどうとでも受け取れる言葉や、言い回しを指す。読者がまよわず理解できるために、わかりやすく、具体的に、表現を工夫することを心がける。
⑨語尾に変化をつける
「~だった」「~だった」「~だった」など、同じ語尾が三回以上続くと、リズム感が悪くなったり、単調な印象になったりする。
二つ目や三つ目の語尾を変えるだけでも、気持ちのいいリズムになる。自分の書いた文章を音読して、リズムが悪いと感じたら、語尾に変化をつけよう。
⑩接続詞は少なくする
「しかし」「または」「そして」「なお」などの接続詞は、文と文のつながりを良くするものの、使いすぎればくどい印象になる。
順接の接続詞は削っても意味が通る場合が多い。
使うなら、ここぞというときにのみを心がける。
四、書いた文章を推敲する
推敲とは、書いた文章を読み直し、悪いところを修正すること。
文章の仕上げであり、自身の文章力アップにつながる。書き終えたら、最低一度は読み直すことを忘れずに。
読み直す場合、書いた直後は記憶がはっきりしているため、文章の欠点が見えにくい。かきあげたら、最低一日は間をあけてから読み直すのが理想。一カ月後に読み直すと、さらに自分の文章を客観視できるため、推敲しやすい。
時間がない場合、数時間でもいいので作成した文章から離れたあと、読み直すように。
推敲するポイント
①余分なところを削る
なくても意味が通じるところは、思い切って削除する。できるだけ簡潔に、わかりやく伝わる文書になることを意識する。
②語句を並べ替える
文法としてあっていても、すんなり読み進められないと感じル場合がある。倒置法にしてみたり、語句の順番を入れ替えたりしてみる。
③抜け落ちがないかをみる
「誰が(何が)」「何を」「何に」「どのように」「いつ」「どこで」「どうする」のうち、必要な事柄が欠けると意味が曖昧となり、読み手が理解できなくなってしまう。
作者の頭の中には、登場人物の行動やセリフ、場面の状況などがわかっているため、抜け落ちる場合がある。
推敲するときは、読者目線で、一文ずつ確かめること。
ただし、前文から、省略しても意味が分かる場合は、省いたほうがスッキリするときもある。
抜け落ちなのか、省略かの判断もしていく。
④重複をなくす
重複には、「言葉」「意味」の二つがある。
「多くの人から、多くの意見をもらった」が言葉の重複。
この場合は、「多くの人から、意見をもらった」にする。
「頭痛が痛い」は意味の重複。「頭が痛い」あるいは「頭痛がする」にする。
⑤表記ゆれをなくす
表記ゆれとは、同じ文章内で「漢字」「ひらがな」「カタカナ」表記や、単語の表記方法が統一されていないことを指す。
表記ゆれがあるとストレスとなり、読者は内容を理解しにくくなる。
たとえば一つの文章の中に、「web小説」「WEB小説」「ウェブ小説」「Web小説」「web小説」「WEB小説」「ネット小説」などと使われていたとする。
どれも同じものを表現しているのに、いろいろな表記をつかわれていては、それぞれ「別モノ」だと誤認しかねない。
結果、読者は読みづらさを感じてしまう。
物語を楽しむ邪魔にならないよう、かかる負担を取り除くことを作者は怠ってはならない。
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