サポ限に書いていたこと13 文体を考える
自分が書きたい作品に適したレーベルを見つけたら、つぎに作品のジャンルや作風に会った文体を考える。
文体とは、文章スタイル、リズムのこと。
作家のクセによって文章のリズムは生まれるので、良し悪しの判断は付きかねる。
小説で文章力のことを、マンガでは画力に当たる。
同じく、小説で文体のことを、マンガでは絵柄を指す。
絵柄の好き嫌いでマンガの好みが分かれるように、小説も文体の好き嫌いで好みが分かれるはず。バトル漫画を少女漫画の絵柄に置き換えただけでは読んでもらえないように。
作品のジャンル、投稿先がターゲットとしている読者層によって文体を考えなければならない。
ジャンルの違いは、外見描写でくらべるとわかりやすい。
・絵本の文体
わかりやすい絵を助けるため、あえて幼稚な文章にしている。
一文を短くし、正確でリズミカルな美しい日本語を使う。
難しい言葉を使わず簡単な言葉に置き換え、漢字を開いてひらがなとカタカナにする。
・児童文庫の文体
正確でリズミカルな日本語を使う。
描写は最小限。読みやすさを重視し、一文を短く、簡単にする。
難しい言葉をなるべく使わず、簡単な言葉に置き換え、漢字をつかいながら読み仮名のルビをつける。
・ウェブ小説の文体
描写は最小限。
読みやすさを重視し、一文を短く、簡単にする。
文章力、文章ルールは重要ではない。
「カクヨム」や「小説家になろう」は軽い文体が多い。
外見描写は最小限。一行から二行を目安。二十字から四十字程度。
名前、年齢、人種、外見や印象。
文芸に近い小説を書くと、読まれにくい傾向がある。
ライトノベルの文体。
面白いか。読者の好みに寄り添っているか。
文章力はさほど重要ではない。が、文章技術やルールは守る。軽めで読みやすく、今風の表現や流行りを意識し、コミカルな部分も多い。ウェブ小説よりも丁寧に書く。
外見描写は二行から四行を目安。四十字から八十字程度。
年齢や外見、容姿。ウェブ小説より丁寧に書く。
文芸を好む層からは、文章が稚拙と呼ばれることがある。
・ライト文芸
文章技術を大事にし、文章ルールも守る。軽すぎず重すぎず、ある程度コミカルな文章がよい。文芸にくらべて一人称のセリフ口調が多め。描写はそこそこ書き込む。少女向けや乙女系の少女物語は、描写にボリュームが必要。
雑食タイプの読者層は、「重すぎず軽すぎない文体」のライト文芸を好む。文体は、ライトノベルの文体にも通じる。
外見描写はライトノベル並み、もしくはより丁寧に書く。
とくに少女物語である少女系や乙女系は、ボリュームが必要。かといって、見たままを丁寧に描写すると、全体像をつかむのに時間がかかりすぎて読者が退屈してしまう。比喩を用いるなど、全体像をイメージさせつつ細かな描写が必要になる。
エンタメを好む層からは、雰囲気だけで面白さがわからないといわれることがある。
・文芸の文体
文章技術を大事にし、文章ルールも厳守。文体で作品の雰囲気を表現する。サスペンスやミステリーなら重い文章、恋愛ならきれいな文章、ヒューマンドラマなら哀愁ある文章など書き分ける。
ラノベを読む層からは、難しく読みにくいと言われることもある。
・純文学など
文章技術を大事にして、文章ルールを厳守。情景や心理描写を巧みな言葉で表現し、ストーリー以上に文章そのものに味わいを描く。
小説とは、精神統一した状態で書かれたもののこと。トリップ、あるいはゾーンに入っていると言ってもいい。
ゾーンに入って執筆した翌日、昨日と同じ状態で書けずにズレてしまうと、同じ人が書いているのに作品にズレができてしまう。
純文学の長編には、作品の空気や季節感、登場人物の息遣いや体温に連続性がなければならない。
ウェブ小説層からは、文章の塊で読みにくいし私小説の何が面白いのかわからないと言われることもある。
それぞれのジャンルには、読者層の好みが分かれているので、好みにあった文体を書く必要がある。
自分の書こうとしている作品が、どの読者層に好まれるのかを考えて文体を選び、適したレーベルに応募しなければならない。
せっかく書き上げて応募しても、作品の文体とレーベルが違うと、「この作品はうちのレーベルじゃない」からと一次選考で落とされてしまいます。
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