サポ限に書いていたこと12 種類とレーベル・純文学
純文学とは、明治以降にはじまった日本の「近代文学」の伝統を大きく汲んだ文学ジャンル。
一般的には「文学性を重視した小説」とされている。
人間がいかに生きるべきかをテーマとして扱われ、芥川賞が代表的な賞の一つ。直木賞は大衆性、娯楽性、読み物として楽しめることに着眼している。
大衆文学や通俗文学とは対義語であり、読者の娯楽的興味に媚びるのではなく、作者による「芸術や哲学についての深い思索・探求」が描かれているのが大きな特徴。
純文学を取り扱う五大文芸誌があり、これらの文芸誌が主催する新人賞には、純文学新人賞がある。
大きな事件や展開は必要なく、ささいな日常の一コマを切り取り、人間の内面や心理描写が多く含まれ、生き方や社会問題などが扱われることが多い。
緊密で端正な文体が採用される傾向がある。
■純文学系文芸系列
・文藝春秋
一九二三年、菊池寛によって創業された出版社。一九四六年に解散した後、社員有志によって株式会社文藝春秋新社が設立。一九六六年に現在の社名に改められた。
百周年を迎えた歴史ある出版社であり、文芸、ジャーナリズム、デジタルメディア、イベント、広告・カスタム出版など、幅広い分野で活躍している。
社是や社訓を持たず、創業者の菊池寛の精神、「人間臭い」雑誌を目指しており、攻めの書籍が多いのが特徴で。編集長の趣味丸出しの連載陣を展開している。
「文學界新人賞」
第一回は一九五五年から。
五大文芸誌の中では、もっとも歴史が長い。
他の賞とくらべて「正統派」の小説が多い。
「正統派」とは、「大きな事件や展開は必要ない」「ささいな日常の一コマを切り取る」「緊密で端正な文体が採用される」「『人間とは何か』といった鋭い洞察がある」のが特徴。
個性豊かなエンタメ作品が受賞する「文藝賞」「すばる文学賞」と比較すると、オーソドックスで正統的な作品が受賞する傾向にある。
もう一つの特徴は枚数の少なさ。七十~百五十枚。短・中編小説に特化している。
かつては最も芥川賞に近いと言われたが、最近は少ない。
芥川賞は「日本文学振興会」「文藝春秋」の共催である。
受賞作は『文藝春秋』に全文が掲載され、書籍出版は「各社から」行う。
出版は慈善事業ではないので、「自社から、発掘して芥川賞作品を出版したい」との考えが働き、文學界新人賞を受賞した作家が、芥川賞受賞しやすかった。
現在では、各文芸誌から満遍なく選出され、むしろ『文學界』掲載作品以外の方が多い傾向にある。
対策として「過去の受賞作」「受賞作家の作品」を数多く読む必要がある。なぜならば、賞の傾向や特徴を把握でき、過去の作品との類似を避けられるから。
賞の性格にそぐわない作品はカテゴリーエラーに引っかかるし、過去作品との類似がみつかれば「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまう。
・新潮社
一八九六年に創業された新聲社が前身。一九一四年には新潮文庫を創刊した。
小説、雑誌、コミック、エッセイなどを出版。
人間の感情を緻密に描いた作品や読者の心に訴えかける作品が多いのが特徴。読者は比較的高めの年齢層が多いとされる。また、新潮社は新人作家を発掘するために「新潮新人賞」を設けており、硬派で正統的な作品が好まれる傾向がある。
新潮社と週刊文春は似たような誌面を持っているが、社風は全く異なる。文春は社員持ち株制度で社員が社長を決めるが、新潮社はオーナー会社。また、文春は学園祭のように編集部でワイワイ議論しながらつくっているが、新潮社の記者はプロであり、仕事が終わったらさっさと帰宅するため、編集部は静かである。
「新潮新人賞」
一九六八年から、新潮文芸振興会が三大新潮賞のひとつとして開始。 当時の名称は新潮文学新人賞。
「硬派」で「正統的」で近代文学の伝統に連なるような作品が好まれる傾向がある。近年は、「独自の哲学」「挑戦的な試み」「個性的」な作品が目立つようになってきた。
枚数は二百五十枚以内。中編から長編に対応できる高い構成力が要求されている。
対策として「過去の受賞作」「受賞作家の作品」を数多く読む必要がある。なぜならば、賞の傾向や特徴を把握でき、過去の作品との類似を避けられるから。
賞の性格にそぐわない作品はカテゴリーエラーに引っかかるし、過去作品との類似がみつかれば「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまう。
・講談社
一九〇九年に創業。講談倶楽部を創刊した一九一一年から「講談社」を使用。ジャーナリズム誌、女性誌、ノンフィクション、小説、児童書、コミックなど幅広い出版活動を行っている。
英語圏や中国語圏を含め、世界多言語に翻訳され、熱心に支持されているコンテンツも多数ある。
出版物を作るために社員が「おもしろくて、ためになる」と考え抜くことが求められており、人々の好奇心を刺激するような挑戦ができること、不況の嵐が吹き荒れる出版業界の激変を楽しみ、開拓精神を持って新たな世界を切り開いていくような志があるとされている。
「群像新人文学賞」
一九五八年に創設した純文学の公募新人文学賞。
『群像』は、独自の世界観を持っている。同様に「群像新人賞」は独自性の強い作品が受賞する傾向がある。
対して、「文學界新人賞」「新潮新人賞」は正統派作品が評価される。
かつて、『文學界』が「もっとも芥川賞に近い文芸誌」といわれていた。だが近年、『群像』の躍進は目覚ましく、先見性がとても高いため、群像に掲載されれば芥川賞にグッと近づくといわれる。
枚数は七十から二百五十枚。
群像はこれまでにない「独自性」「前衛さ」を求めているため、受賞作の傾向や特徴がつかみづらく、難易度も高い。
対策として「過去の受賞作」「受賞作家の作品」を数多く読む必要がある。なぜならば、賞の傾向や特徴を把握でき、過去の作品との類似を避けられるから。
賞の性格にそぐわない作品はカテゴリーエラーに引っかかるし、過去作品との類似がみつかれば「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまう。
・集英社
社名は「英知が集う」の意味。
講談社、小学館とともに日本の三大出版社の一角を担う。
一九二六年に小学館の娯楽誌出版部門として相賀武夫が創業。 一九四一年から一九四六年まで太平洋戦争のため社業中断。一九四七年に山川惣治の紙芝居『少年王者』を単行本として出版するため、合資会社として営業を再開。。一九四九年に株式会社化され、一九五二年に独立した社屋に移転、その後小学館との業務分離を行う。
小学館が筆頭株主であり、同じ企業集団「一ツ橋グループ」に属するが、後に小学館も娯楽出版部門に進出した結果、両社は競合する雑誌を多く擁する。
『週刊少年ジャンプ』『Seventeen』『りぼん』『マーガレット』『Myojo』などのヒット雑誌を多数創刊している。
「すばる文学賞」
一九五二年に始まった「オール新人杯」をルーツとする公募型の小説新人賞であり、一九八七年に創刊された月刊小説誌『小説すばる』の公募新人文学賞。 年一回発表されている。
文芸誌に掲載されるため、「純文学」として捉えられる。
文芸誌『すばる』の読者層が若年層、とりわけ女性が多い。
過去の受賞作を見ても、主人公が女性の物語、若くみずみずしい感性が光った、しなやかで湿った文体の作品が多い。
ゆえに、「若々しく、みずみずしい感性」「エンタメ性の強い作品」が求められている。
受賞作は高確率で単行本化されるのも特徴。
枚数は百枚から三百枚
対策として「過去の受賞作」「受賞作家の作品」を数多く読む必要がある。なぜならば、賞の傾向や特徴を把握でき、過去の作品との類似を避けられるから。
賞の性格にそぐわない作品はカテゴリーエラーに引っかかるし、過去作品との類似がみつかれば「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまう。
・河出書房新社
一八八六年(明治一九年)に河出静一郎が岐阜県より上京し、岐阜成美堂の東京支店として日本橋に開業をはじめる。地学、農学書の出版社として名を馳せる。
二代目の河出孝雄により「河出書房」と改名、文芸出版社としての地位を確立。
一九五四年に創業七十周年記念企画として総合雑誌『現代生活』の創刊を公告するも、立ち上げの資金を編集スタッフに持ち逃げされた。一九五七年に経営破綻、新たに「河出書房新社」を創設し再建。現在は、東京都渋谷区千駄ヶ谷に本社を置く。
河出書房新社は、文芸書、小説、雑誌を出版している。
河出文庫、河出ブックス、世界の大思想、KAWADE夢ムック、KAWADE道の手帖、河出新書、KAWADE夢新書、九龍コミックス、ふくろうの本、らんぷの本、奇想コレクション、十四歳の世渡り術などのシリーズを出版している。
全体的な傾向として「深堀った作品」が多い。 ライトな本好きよりも「小説読みの玄人」に向けた作品が多いことが特徴。
「文藝賞」
創設は一九六二年。
新人の登竜門として意欲的な作品、既成の枠にとらわれない、衝撃的な作品を募集している。
『文藝賞』を授賞するには、「売れそうな中・長編小説」を書かなくてはいけない。
特徴や傾向の一つに「新たな感性」が求められている。年齢が若いという意味ではない。大切なのは発想、手法、テーマなど、何かしらの「新鮮さ」があること。
また、ほどよいエンタメ性、ライトで取っつきやすい作品が多いのが特徴。
読みやすくて面白いだけでなく、「確かな文体」「緻密なプロット」が前提に「程よいエンタメ性」と「新しい感性」が求められている。
枚数は百~四百枚。
対策として「過去の受賞作」「受賞作家の作品」を数多く読む必要がある。なぜならば、賞の傾向や特徴を把握でき、過去の作品との類似を避けられるから。
賞の性格にそぐわない作品はカテゴリーエラーに引っかかるし、過去作品との類似がみつかれば「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまう。
※漏れや誤りがあるかも知れません。
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