サポ限に書いていたこと8 種類とレーベル・ラノベ1
ライトノベルとは、娯楽小説のジャンルの一つ。
「軽快」といったポジティブな意味合いが含まれた日本発祥の言葉。さまざまな考え方があり、明確に定義されていない。
通常の小説と違い、アニメ絵の表紙や中高生の若者に向けた読みやすい文体の作品をラノベと呼ぶことが多い。
メディアミックス化が盛んで、漫画やアニメ、ゲームなどの原作としてラノベが注目される機会が増え、アニメ化のみならず映画化となる人気作品が次々に誕生している。
キャラクターを最重視し、SFや日常、ファンタジーにミステリーなどに恋愛要素を取り入れている。
ラノベ文体の特徴は「読みやすさ」に尽きる。
一文が短い。
すぐに「。」や改行。
一行開けが多い。
第三者目線よりも、主人公や同行者視点による口語体で文章を書く。
作品にもよるが、外見や背景描写も意図的に控えめにする。
効果音が書かれ、キャラの話し方に違いを描きつつ、短い会話文が続く。一つの行動や言動など、少ない文章量で書き切り、余計な行動は書かずに終わらせる。体言止めや「~のような」などの比喩表現が多い。
読者層は十~二十代が多く次いで三十~四十代。購買層になると逆転する。
中高生なら、無料で観られるアニメから入って、無料で読める原作のウェブ小説を読み、特に気に入った書籍だけを小遣いの範囲内で購入する。そのため、若い読者は人気作品に集中する。
逆に、アニメ化されていない新作を率先して購入する層は、懐に余裕のある大学生以上が中心なので、平均年齢は高くなる。ウェブ小説は大判の単行本で出版されることが多く、一冊一〇〇〇〜一五〇〇円くらいする。
作品の傾向は、大きく二つに分けられる。
「流行ジャンル、トレンドを意識した作品」と「独自の世界観、作風を存分に発揮した作品」である。
八〇年代はベッドシーンがあり、九〇年代はセックス描写も許され、二〇〇〇年代に入っても続き、二〇一〇年ごろのラノベは、パンツ、ロリ、ラッキースケベの全盛期。ポルノ、エロ小説と化していた。
ラノベとエロゲを隔てる壁が薄く、完全にポルノであるラノベも少なからず存在していた。
女性向けノベルはポルノどころではなく、一巻に三回はシーンがあった。その結果、ラブコメが停滞し、なろう系に一気に流れ、現在に至る。
現在のラノベは、タイトルが直球でエロを匂わしつつ、表現規制されて健全そのものになっている。かつて、ちょっとエッチなラブコメならば確実に売れる方針で進めたが、初動は良くても長期シリーズに育たないことが判明したため、方針を撤回したレーベルがある。
ただし、女性向けに関してはあまり変わっていない模様。また、なろう系がハーレムエロに走る傾向がみられる。
二〇一〇年以降、ラノベレーベルが増加。男性のなろう系のはやりに遅れながら追随する形で、女性向け小説レーベルも数を増やしてきている。
■ライトノベル系列
・講談社
「講談社ラノベ文庫」
創刊は二〇一一年。
「読者に愛されるキャラクターを生み出し、キャラクターにファンが惹きつけられる正統派ライトノベル」がコンセプト。
主な対象読者を十代中盤〜二十代前半男性と想定した長編小説。ファンタジー、学園、ミステリー、恋愛、歴史、ホラーほかジャンルを問いません。一次選考通過者以上の方には評価シートが送られる。
講談社ラノベ文庫の基本方針に「魅力あるキャラクターが紡ぐ王道エンターテイメント作品を求める」とある。「流行を探す前に、自分を探して欲しい」「自分が書きたいことではなく、自分が書くべきことをみつけてください」とも。
萌えを重視しつつ、メディアミックスに力を入れている。
「講談社X文庫ホワイトハート」
創刊は一九九一年。
少女小説ブーム、少女一人称による学園恋愛小説全盛の時代は終わりを告げ、かわって台頭したのが、ファンタジー小説というジャンルの流れから、ティーンズハートより年齢層の高い読者をターゲットとして創刊された。
一般的な少女小説作品の他に、ボーイズラブ系作品、ティーンズラブ系作品、ミステリー系作品が主に刊行されており、代表的な作品に『十二国記』(小野不由美)がある
「ボーイズラブ小説」「ティーンズラブ小説」「その他」を区別する工夫をしている。基本、背表紙が白で "White Heart" の囲みが青緑ならば一般的な少女小説。紫ならばボーイズラブ。(異性間恋愛ものも紫の囲みに分類されている)
女性向けティーンズラブ小説は背表紙がピンク、ミステリー小説は背表紙が水色で、"White Heart"の囲みが白となっている。(同一シリーズでも囲みが紫だったり青緑だったりする場合もある)
※「NOVEL DAYS」
オープンは二〇一八年。
講談社が運営する小説投稿サイト。
自作小説、チャット小説、コラボ小説の投稿ができる他、ユーザーがさまざまな講談社サービスを利用できる。
文学志向が強く、非なろう系作家のオアシスのようなサイト。
コンテストなどもあるが、 総体としては多くはない印象。
サイト内の小説賞は「ランキングとは無関係に選考される」と運営が明言している。ランキング、応援ポイント、PVなどは選考に影響しない。
・京都アニメーション
「KAエスマ文庫」
創刊は二〇一一年。
今までの娯楽をひっくり返すことを目指して設立され、ジャンルにも一切こだわりがなく、あるのは面白いか、そうでないかだけ。
「京都アニメーション」が刊行しているライトノベルレーベル。京都アニメーション公式サイト内のオンラインショップ「京アニショップ!」やアニメイト、文教堂やTSUTAYAなどの一部書店でしか取り扱いがなく、入手が難しい。
第二回で奨励賞となった『ハイ☆スピード!』を原案とした『Free!』シリーズで女性ファンを開拓。第七回審査員特別賞『ツルネ -風舞高校弓道部-』でも女性ファンを誘っている。
・KADOKAWA
「電撃文庫」
創刊は一九九三年。
ラノベトップシェアレーベルであり、三〇周年をむかえる。
「電撃文庫では、面白いものであればジャンル問わずに受賞させる」「たとえそれが官能小説であっても、クオリティが高ければ十分評価の対象になる」「読者に好きになってもらえる、心に強い印象を残すキャラクターを作ってほしい」とあり、「魅力的なキャラクター」であることが面白さの重要な要素である。
SFやファンタジー、ミステリーからホラー、ラブコメから日常ものなどありとあらゆるジャンルの作品を出版。オールジャンルで、面白ければ何でもよく、魅力的なキャラ造形が求められている。異色作品も多数出してもらえる。
とにかくおもしろく、読者に刺さって売れる作品を量産できる新人を探している。
「角川スニーカー文庫」
創刊は一九八九年。
角川文庫から派生。ファンタジア文庫と共に古い。ジュブナイル小説を受け継ぎ、SFやファンタジー系の王道作品が多かったが、近年は若干エロを重視した作品が増えている。
現在のキャッチコピーは「いつでもみんなのNo.1!」
少年向け小説として創刊。『ガンダムシリーズ』『重戦機エルガイム』『マクロスシリーズ』などの後、『ロードス島戦記』登場を期にゲーム的なファンタジー世界観を持った小説が一時主流となる。
現在はオリジナル作品に加え、『月刊少年エース』および派生誌に連載されている漫画のノベライズ作品やニトロプラス、アリスソフト等のアダルトゲーム原作作品(表現はマイルドに押さえている)も多く刊行。『涼宮ハルヒシリーズ』で一時期尖った内容が混在していた。第二十七回スニーカー大賞では、異世界コメディである『我が焔炎にひれ伏せ世界』が受賞している。
決め手は「キャラクターの魅力」その一点とある。舞台はラノベの王道である異世界であり目新しいオリジナリティはなかったが、主人公と仲間たちにパワーと魅力があったことが評価を得たポイントだという。
スニーカー作品の代表作をつなぐ為に、「時の流れを感じさせるエモさ」と「スニーカー文庫の文脈の先にある作品」であるかが大切なのかもしれない。
「角川ビーンズ文庫」
創刊は二〇〇一年。
角川文庫の少女向けライトノベルで、スニーカー文庫の姉妹レーベルのようなもの。
スニーカー文庫から派生したBL専門レーベル「角川ティーンズルビー文庫」が母体になっている。
主にファンタジー系が多い。
『まるマ(今日からマ王!)シリーズ』『少年陰陽師』『彩雲国物語』の人気により注目。二〇一〇年代はボーカロイド小説に力を入れる。
近年、小説家になろうの作品も扱うようになったり、E★エブリスタやカクヨム、ピクシブで小説賞を開催したり、小説投稿サイトの出自が増加。カクヨムでは角川ビーンズ小説大賞への投稿が可能である。
「富士見ファンタジア文庫」
創刊は一九八八年。
スニーカー文庫と共に古くからあり、ドラゴンマガジンを母艦誌としたレーベル。現在では電撃文庫・角川スニーカー文庫と並ぶ、ライトノベルのメジャーレーベルである。
ファンタジーのイタリア語であるレーベル名なのでファンタジー作品が多いかと思われがちだが、創刊時にSFの「灼熱の竜騎兵」、初期には「無責任シリーズ」「スレイヤーズ」前後の九〇年代にも現代異能の「ザンヤルマの剣士」、SF「ヤマモトヨーコ」「ロストユニバース」「セイバーマリオネット」「フルメタル・パニック」などがあり、剣と魔法のファンタジーに固執せず、安定した王道ものが多い。アニメ化もされた『スパイ教室』は第三十二回ファンタジア大賞受賞作品。スパイファンタジーである。
「富士見ドラゴンブック」
創刊は一九八五年。
テーブルトークRPGをテーマとする作品や、パソコンゲームのノベライズ作品を扱う。
カクヨムから『勇者、辞めます~次の職場は魔王城~』『次元の裂け目に落ちた転移の先で』『限界集落・オブ・ザ・デッド』『黄昏のブッシャリオン』『勇者のクズ』『偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ』『クトゥルフ神話 探索者たち 鈴森君の場合』など、様々な小説が発表されている。
「ファミ通文庫」
創刊は一九九八年。
創刊当時の正確な名称は「ファミコン通信」。略した愛称が「ファミ通」だったが、一九九五年末から正式名称が「ファミ通」に変更。
二〇一三年九月までは株式会社エンターブレインが刊行していた。
同年翌月からKADOKAWAに吸収合併される。ファミ通の名を冠しているが、レーベル名に利用しているに過ぎず、直接の関係はない。
ただし、テイルズ オブシリーズなどのゲームを原作としたノベライズやゲームっぽい要素を含む作品が多い模様。
独特な世界観を楽しめるファンタジーもの、現代もの、青春小説の色が強い作品や学園ファンタジー、予想外の展開を見せるミステリー、ホラーなどがある。メディアミックスも行われ、アニメ化される作品も多い。
ファミ通文庫の新人賞の応募方法が分かりにくいことから、カクヨムを窓口にすることが決まり、かつて実施されていた「エンターブレインえんため大賞ライトノベルファミ通文庫部門」の後継として、二〇一九年と二〇年にカクヨム上で「ファミ通文庫大賞」が行われた。
「ビーズログ文庫」
創刊は二〇〇六年。
少女向けライトノベルのレーベル。以前はB's-LOG文庫の表記で、エンターブレインから発行されていた。
主に異世界を舞台としたファンタジー作品が多い。
二〇一五年より派生レーベル「ビーズログ文庫アリス」が創刊。本レーベルと比べると現代を設定にした作品が比較的豊富。
「MF文庫J」
創刊は二〇〇二年。
業界二位。出版元のメディアファクトリーは元々、リクルート系の出版社。角川に買収・吸収合併され、現在はKADOKAWAの一部門。
主に萌えとラブコメを重視。それだけにとどまらず、話が面白いものも揃っている。KADOKAWAの他文庫よりも独自性が強く、メディアミックスにも力を入れている。作品による値段のばらつきがなく全作品五八〇円(税抜き)
「十代の読者が心から楽しめる、オリジナリティ溢れるフレッシュなエンターテインメント作品」を読者に提供することを考えている。
※「カクヨム」
オープンは二〇一六年。
KADOKAWAが直接運営する小説投稿サイト。
二〇二三年に登録会員数が百万人を突破。
『小説家になろう』などの他社サービスと同様に、新人発掘を目的として、自社レーベルによる文学賞も開催している。
性的描写に関する規制は「なろう」より緩く、セルフレイティング(事前警告)で「性的描写あり」のタグを添付しておけば、描くことも容認される。このセルフレイティングは他に「残酷描写あり」「暴力描写あり」が存在する。
「小説家になろう」の場合、スコッパーと呼ばれる、上位ランク外の作品から好みの作品を掘り出す読者が居るらしく、一度埋もれてしまった作品が突然息を吹き返したように高PVになることがあるが、カクヨムでは難しいといわれる。
映画化ドラマ化された『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』やアニメ化された『スーパーカブ』などがある。毎年十二月にはKADOKAWAの小説、コミック、映像部署が合同で選考する「カクヨムWeb小説コンテスト」が開催される。直近の応募総数は二万作品を超える日本最大の小説賞となった。
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