作家さんそれぞれの、プロットのやり方5

『プロットを書かないプロ作家さんの小説の書き方』


★ラノベ作家・小鈴危一さんの小説の書き方

 プロットはメモ程度に箇条書きするだけ。何を書くかも作品によって変わる。

 以前はキャラクターのプロフィールや、ストーリーの流れなどを詳しく書き出していたが、全部脳内プロットと行き当たりばったりで問題ないという結論に至った。


★ラノベ作家・shiryuさんの小説の書き方

 物語の流れなどを思いついたときにメモして、ぶっつけ本番で書いている。その方が物語やキャラクターが勝手に動いて、自分が楽しめるので。


★ラノベ作家、界達かたるさんの小説の書き方

 物語の大筋を書くプロットは作らないことがほとんど。

 ストーリーは書いているうちに決まってくる。大まかな世界観とキャラ設定は事前に作る。のちのち絵師の方にお渡しすることになるので。

 大体、いくつかざっと企画書を作って担当さんにチェックしてもらい、好感触だった企画から世界観やキャラ設定だけ作って書き始めていく。

 どう終わるかはわからない為、書いていてとても楽しい。


★作家兼編集者の入江 棗さんの小説の書き方

 頭に浮かんだことをまとめようとは一切せず、テキストファイルに書き出す。それを精査しつつ清書。発想が捗るのは入浴中と自転車に乗っているとき。


★ラノベ作家・黒九いなさんの小説の書き方

 プロットを固めすぎると、いざ本文で書こうとした時に上手くシーンにならないタイプなので、詳細は本文を書きながら詰めることが多い。高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に執筆する。

 プロットを作るのは基本は脳内。誰かに見せる必要がある時だけ、改めてプロットの書式に落とし込む。

 手順としては、核となるシーンやキャラクター、冒頭、クライマックス、物語の転換点やざっくりとした流れを決める程度。

 先述したように細かい部分は書きながら決めていくことが多いので、そのまま本文に移る。プロットにいないキャラクターや設定が増えることもしばしば。


★ラノベ作家・幹さんの小説の書き方

 アマチュア時代はほとんどプロットを作れなかった。

 頭の中で、いくつかの通過点と着地点は決めたが、あとはとにかく流れで書いていた。

 プロになってからこれはいかんということで、なんとかがんばって作っている。といっても、キャラクターや世界の概要と、全体の流れを書く程度。もっとちゃんとしたものが作れるようになりたい。


★ラノベ作家・細音啓さんの小説の書き方

 プロットの作成は、全部頭の中。自分の脳メモリーは小説関連で常時埋まっている。おかげで忘れ物をよくしてしまう。


★ラノベ作家・岡崎マサムネさんの小説の書き方

 プロットは作成しませんが、書く前からゴールと通過点がある程度決まっている。

 その通過点を繋げながら、ゴールに向かって書き進めているイメージ。


★ラノベ作家・暮田呉子さんの小説の書き方

 プロットは作らず、浮かんできた映像を書きながら具現化していく。

 ただ、大まかに結末は決めていて、それに向かって物語を進めている。

 各章のタイトルも事前に決めておく。

 あまり細かく決めておくと、それで書いた気になってしまって満足してしまうので、あえてふんわりさせておくことで執筆するモチベーションの維持にしている。 


★作家・村上春樹さんの小説の書き方

 小説を書くときに、あらかじめプロットを考えない。

 物語は書いている過程で浮かんでくる。

 それを育て、それと付き合いながら書いて行く。

 まず題名を考えると、それに沿うように書き出す。と、その後、物語が浮かんでくるという。

 人に見せるために小説を書くというより、まずは自分のために書いている。

 つまり、書きながら自分が楽しんでいる。書いている過程を自分が楽しんでいなければ、どんなに大事なことを書いていても、長続きしないかもしれない。

 小説を書くまえに、かなりの空白期間を置く。

 つまり、その空白の期間に何かを溜めるという。


★作家・森博嗣さんの小説の書き方

 設計図をさきに作って進める工法は、労働感が強くて作業が面白くない。それに、書いているうちに思いつくことを物語に採り入れにくい。書いている最中が最もその世界に没頭しているわけだから、頭が最大限に働き、発想がつぎつぎに湧いてくる。それらを無視して設計図どおりに進めることが不自由で面白くない。

 初めに設計図を描こうと無理に考えている時間より、書いているときの方が良いアイデアを思いつきやすい。

 設計図をいっさい描かずに、いきなり書き始めることにした。

 物語をほとんど構想せず、いきなり最初のシーンを書くと、書いている本人もこのさきいったい何がどうなるのかわからない。

 書くこと自体がスリリングで、思いのほか楽しい。

 小説を読むよりも楽しい。

 まずタイトルを考えることにした。

 とりあえず、ぼんやりとしたイメージからタイトルを決める。それから書き始める。そうすると、当然そのタイトルにぴったりマッチする内容になる。出来上がった内容に合うタイトルをあとから考えるよりも、ずっと適切なタイトルになる。


★作家・池井戸潤さんの小説の書き方

 田園生活をのんびり描写しているうち、「ここには何かがあるな」と思い始めた。田舎とはいえ、決して平和な生活や円満な人間関係ばかりがあるわけじゃない。

 誰が事件の謎を解くためのキーパーソンになるのか。登場人物一人ひとりの人生に踏み込んでは掘り下げ、何気なく登場した人のちょっとした会話や一見何気ない行動の理由を追っていくうちに、さまざまな発見をする。

 つまり、作者が探偵役であると同時に最初の読者として書いている。



 プロットを作る作家さんもいれば、作らない作家さんもいます。

 プロットを作る作家さんも、アイデアを考えるときは演繹法と帰納法、二つのやり方に分かれているのがわかります。

 それぞれ試して、どちらが自分にあったやり方なのか把握しておくと、プロットづくりに取り掛かりやすくなると考えます。

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