作家さんそれぞれの、プロットのやり方3

★作家・瀬川コウさんのプロットの書き方

「こういう場面、書きたい!」「こういうキャラ、書きたい!」というアイデアが複数浮かぶところから始まる。

 一つだと足らない。

 その物語での新しい提案は何なのか、つまり他の作品にはないこの物語だけのアイデアは何なのかを考える。(すごく大事)

 主人公とヒロインに目的を与え、それに沿ったキャラ設定を作った後で、そのキャラは「魅力的なのか」という別視点から考える。(なかったら付け加える)

 特に一人称で物語を語る場合、語り手が魅力的じゃないと読者が嫌になってしまうため、非常に注意している。

 後は物語の中盤に大きな盛り上がりをドスンと置き、乙一式穴埋めプロットを使って穴埋めしていく。

 途中で自分のメモ帳にある掛け合いリストやネタリストから適当に引っ張り出し、「ここでこのネタ使う」感じでプロットを組んでいく。

 完成すると、もう物語は出来たも同然。後は肉付けなる単なる「作業」となる。

 プロット作りには二週間ほどかかるときもあるという。



 乙一式穴埋めプロットは、

一章

A「登場人物、舞台、世界観の説明」

a「問題の発生」

二章

B「発生した問題への対処」

b「問題が広がりを見せ、深刻化する。それによって主人公が窮地に陥る」

三章

C「広がった問題に翻弄される登場人物。登場人物の葛藤、苦しみ」

c「問題解決に向かって最後の決意をする主人公」

四章

D「問題解決への行動」

 乙一によれば、ロット作成は「穴埋め」の作業。

1.発端と結果を設定する。

2.発端から結果までを四分割し、境界であるabcをどのようなイベントにするか考える。

3.abcの前後となるABCDに、どんなイベントが入れば自然な印象になるかを考える。


★ラノベ作家・RETUさんのプロットの書き方

 自分が書きたい大体のイメージ(魔王が勇者を倒すストーリーなど)と、どんでん返しとオチを作ったらプロットの完成。設定や世界観も考えるが、後からガンガン追記。勢いを重視している。


★ラノベ作家・くしまちみなとさんのプロットの書き方

 プロットはかなり詳細に組む。

 ぴこ山ぴこ蔵先生が作られたEDWORD2を使って簡易プロットを組み、その後モリモリと盛っていく。気がつくとプロットだけで五稿も修正していることがある。

 まず、こんなのを使いたいと思ったものをメモする。

 メモがたまったら、簡単なお話にしてみる。

 EDWORD2であらすじを作る。

 そのあらすじを元にキャラ設定を作り込んだ後、あーでもない、こーでもないとプロットのシーンを組み込み、一度読み返して足りないところを追加する。

 その後、誰かに読んでもらい、(今は編集さん。ソレ前は同僚とか友だちとか)面白いかどうかを確認、指摘された場所を直す。

 Wordデータで二十枚とか三十枚とかにふくれあがる。キャラ設定は別用紙にモロモロ。


 ぴこ山ぴこ蔵先生の簡易プロット、タイプ1は以下の通り。

(主人公)は他には代えがたい(大切なもの)を持っている。

 あるとき、何者かによって(主人公)のまわりから(大切なもの)が奪われる。

 急がなければタイムリミットが来る。

 失ったものを取り戻すため(主人公)は立ち上がる。

 主人公は(オトリ)を敵と思い込んで詰め寄る。

 ところが(オトリ)は敵ではなかった。

 そして(本当の敵)が姿を表す。

(本当の敵)は(自分勝手な欲求)を満足させるために大切なものを奪ったのだ。

 しかし(主人公)は(大切なもの)よりも(大切ななにか)を発見する。

 成長した(主人公)はついに(本当の敵)と対決し、意外な結末を迎える。


 どんでん返しの構造は、「敵はAと思わせて、最後にBだったとバラす。AとBが別の人物であること。

 基本タイプは十種類。

①「邪魔する敵と戦いながら(目的)を負う主人公。途中、一旦死んだと思った(目的)が実は生きていた」

②「邪魔する敵と戦いながら目的を負う主人公。その目的は(自分の外部)にあると思っていたら、(自分の内部)にあった」

 以降は「目的を負う主人公が、邪魔する敵と戦う。しかしAとばかり思っていた敵の正体はBだった」の型を使ったバリエーションの違い。

①A=B型Ⅰ

 敵は(コイツ)だと思ったら同じ立場の(アイツ)だった。

②A=B型Ⅱ

 敵は(死んだ)と思っていたら(生きて)いた。

③敵は(主人公の内部に巣食う恐怖)と思っていたら、(主人公の外部に存在する恐怖)だった。

④敵は(主人公が生み出した恐怖)と思ったら、(主人公の外部に存在する恐怖)だった、

⑤敵は(主人公の外部に存在する恐怖)と思ったら、(主人公の内部に巣食う恐怖)だった。

⑥敵は(主人公の生み出した恐怖)と思ったら、(主人公の内部に巣食う恐怖)だった。

⑦敵は(主人公の外部に存在する恐怖)と思ったら、(主人公が生み出した恐怖)だった。

⑧敵は(主人公の内部に巣食う恐怖)と思ったら、(主人公が生み出した恐怖)だった。

 

★作家・山本文緒さんの小説の書き方

 一応は作るが、その通りに進んだことはない。

 物語形式は起承転結というが、そうは思っていない。

 起承転結になっていない物語もあるし、構成に固執しすぎるのもどうかと思っている。純文学に近いようなエンターテインメント小説を書きたいと思っている。

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