感情形容詞を使わない
・感情形容詞を使わない
「やばい」「すごい」「かわいい」を多用している人がいます。
仲間内、友達同士では通用します。
でも、「どう『やばい』のか」「どう『すごい』のか」「どう『かわいい』のか」は伝わりません。普段からなにも考えずに使い続けていると、自分の中で「なにが『やばい』のか」「どれが『すごい』のか」「なんだったら『かわいい』のか」もわからなくなっていきます。
主観的な表現を避けて、数字を使って客観的にすることで、相手に伝わりやすくなります。
想像してみてください。
あなたが病気やケガをして病院に運ばれ、医者に自分の状態を説明するときを。
「やばいんだよ」だけではわかりません。
助けてあげたくても、医者も困ってしまいます。
自分自身の状態をオノマトペなどを使って伝えなければ、どこがどう痛いのかは他人にはわからないのです。(血を流していたり、骨が折れてたり、目に見える状況はわかります)
人間には、「喜び」「悲しみ」「怒り」「驚き」「恐れ」「嫌悪」の六種類の基本感情があることが分かっています。
さらに二十七種類の感情があることもわかっています。
「敬服」「崇拝」「称賛」「娯楽」「焦慮」「畏敬」「当惑」「飽きる」「冷静」「困惑」「渇望」「嫌悪」「苦しみの共感」「夢中」「嫉妬」「興奮」「恐れ」「痛恨」「面白さ」「喜び」「懐旧」「ロマンチック」「悲しみ」「好感」「性欲」「同情」「満足」です。
どの感情も単独ではなく、たとえば「痛恨と悲しみ」や「懐旧とロマンチック」など、他の感情とセットで共存しています。
感情形容詞とは、人の感情や感覚を表す形容詞です。
「嬉しい」「楽しい」「悲しい」「かゆい」「だるい」「不安だ」「心配だ」「楽だ」「嫌い」「つらい」「すごい」「おもしろい」「たのしい」「多い」「少ない」「かわいい」などです。
感情形容詞は、主語が一人称にしか使えません。
第三者の内面を直接知ることはできないからです。使うなら、「彼は楽しがっている」「彼女は嬉しそうだ」となります。
例外として、「彼は彼女が好きだ」「彼女は彼が嫌いだ」「彼は走るのが得意だ」「彼女は泳ぐのが苦手だ」と気持ちや様子が外から分かる場合に、一人称以外でも使えます。
ですが、どう楽しいのか、どう悲しいのかが読者には伝わりません。
形容詞とは、「飾り」なのです。
「花が美しい」と書いても、どのように美しいのかが読者にはわかりません。
わからせるために、「花が夢のように美しい」と、さらに形容詞で飾り立てても満足できるのは作者だけで、読者にはなにも伝わりません。そもそも、花は美しいですから。
会話で共感を表すときに形容詞を使うのは便利です。登場人物の個性も描くことができます。
ですが、地の文で使うと、曖昧さを生んでしまい、目に浮かぶような情景につながらないのです。
主観的で誤解をあたえる曖昧な表現になる形容詞は、使わないようにしましょう。
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