添削しよう1

・添削をしよう

 便利は不便利といいます。

 下書きで紙に書くことはあっても、多くの人がパソコンやスマホを使って小説を書いているでしょう。

 字引きも兼ねている便利な道具のおかげで、難しい字がいっぱい出てきます。

 結果、漢字の多い文章ができあがります。

 かといって、作者のあなたが急に賢くなったわけではありません。

 手で書いていればでてこなかった知らない漢字を、果たして正しく使えているでしょうか。


 ご存じとは思いますが、日本語には、同音異義語がたくさんあります。

「たいしょう」を変換すれば、対象・大賞・大将・大正・対称・対照・大勝・対症・大詔・隊商などたくさん出てきます。

 文章の流れから選べるとしても、「対象」「対称」「対照」はまぎらわしいです。

 他には、「乗せる」と「載せる」の違いもあります。

 表記によっても「取締」「取締り」「取り締り」「取締まり」「取り締まり」「取りしまり」の違いもでてきます。

 他にも、どれが正しいのか迷う漢字が出てきます。

 迷うならまだしも、間違えて覚えていたり、書き間違えたままだったりしていしませんか。 

 書き終えたあと必ず、作品に誤字脱字等がないのか確認しましょう。

 便利は不便利。

 注意が必要です。


 誤字ではないですが、たとえば「陽の光」の「陽」を「ひ」と読ませたい場合、常用漢字で陽は「やう・よう」としか読みません。

 辞書を引けば、太陽は「日」であって「陽」はありません。

 それでも。ひあたりには「日当り・陽当り」の両方があります。どうしても陽の漢字で表現したいのなら、ルビを使うといいです。


 おなじく、誤字ではないですが「自分達」「明日迄」「夜が明けた頃」などの「達」「迄」「頃」の漢字はひらいて、ひらがなにしましょう。

 常用漢字ではない事はもちろん、文章の流れや視覚的効果によるところが大きいからです。

 漢字が多く使われている文章は重たくみえます。契約書類のように、漢字ばかりが並ぶ重たい文章は、読む気が失せます。

 結果、読みにくい文章となるのです



■ひらくべき漢字一覧

 読みやすい文章にするために、ひらくべき漢字です。

 ただし、文章全体を固い雰囲気にするためにあえて漢字にしてもいいので、各自の判断に委ねられます。また、文章全体で、ひらいている漢字が統一されていることが大切です。


・原則一、「副詞」はひらく

 一層   いっそう

 極めて  きわめて

 更に   さらに

 暫く   しばらく

 随分   ずいぶん

 既に   すでに

 是非   ぜひ

 大層   たいそう

 大変   たいへん「たいへん喜ばしい」など

 例え   たとえ 「たとえ遅れても」など

 偶に   たまに

 時々   ときどき

 何故   なぜ

 などなど。

 ただし、副詞であっても一般的に漢字表記されることが多いものは漢字表記してもいい。「一段と」「決して~ない」「少々」「多分」「結構」など。 


・原則二、「接続詞」はひらく 

 及び   および

 且つ   かつ

 従って  したがって

 但し   ただし

 尚    なお

 並びに  ならびに

 又は   または

 などなど。


・原則三、「形式名詞」はひらく

 ~する上で  ~するうえで

 ~する事   ~すること

 ~する度   ~するたび

 ~する時   ~するとき

 ~する他   ~するほか

 ~という物  ~というもの 

 などなど。

 形式名詞とは、実質的な意味をもたず、その節を名詞化するための名詞です。「~する事」を「~すること」とひらくのが一般的とされています。


・原則四、「補助動詞」はひらく

 ~して行く   ~していく

 ~して頂く   ~していただく

 ~して置く   ~しておく

 ~して下さい  ~してください

 ~して来る   ~してくる

 ~して見る   ~してみる 

 などなど。

 補助動詞とは、動詞の後について補助的な意味を加える語です。


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