サポ限に書いていたこと3 プロットを書こう

◆プロットについて


 かつて、一次選考の下読みをすると二千円もらえたといいます。現在は、四千円に値上がりしているそうです。

 出版業界全体は不況です。

 一九九〇年代をピークに下がり続けています。

 かつて、ラノベの下読みには評価シートはありませんでした。

 仮にあっても、ABCと分類する程度。一般の小説ではいまも評価シートはないと思います。下読みはまともな小説とそうでない小説をわけるべく、ふるいにかける役割があります。なので、まともに読める作品を二次選考へと送るのが、下読みの役割でした。

 役割自体は変わっていませんが、現在の下読みは感想めいたコメントまで書いています。その分の値上げ、と思われます。

 ラノベに応募されてくる作品数を二千作とすると、下読みには八百万円かかる計算になります。年二回行っているところは、千六百万円です。

 出版不況なのに下読みに力を入れるのは、より良い面白い作品を世に出して利益を出すためです。

 でも最近、新たなやり方が取り入れられてきています。

 その一つが、カクヨムコンに代表されるやり方です。

 下読みをネットの一般ユーザーに任せ、人気があった上位作品を出版側が読んで選んでいくやり方です。

 カクヨム内の自主企画に、スニーカー編集の人がプロット募集をしていたことがありました。(【スニーカー文庫編集者】カクヨムプロットコンテスト【担当なります】)https://kakuyomu.jp/user_events/16817330647869497553

 また「集英社ライトノベル新人賞・IP小説部門」「男性向けライトノベルの企画の、ストレートエッジ プロットコンテスト」「青い鳥文庫プロット大賞」もプロットの募集をしています。

 出版不況とはいえ、出版側は有用な作品を常に求めています。

 なので、下読みにかかる費用をなるべく抑えたい。でも下読みしなければ良い作品を選べない。そこで考え出されたのが、「ネットで人気となっている作品の書籍化」と「面白いプロットを書いた人に作品を作らせる」ことです。

 前者は、マンガ業界では先んじて行われている手法です。

 ネットで人気が出ている作品には既に読者がついているので売れる、と出版側が判断したのでしょう。だからフォロワー数が多い人が選ばれたり、ネットで炎上しない人が望まれたりします。売り上げに繋がるからでしょう。

 今年一月、乙女系レーベルで受賞した人のエッセイでも、作者の体験からくる持論ですが「ネットで人気のある作品を書籍化する流れは、今後も増えていく」と書かれていました。

 ネットで人気を得るには、読みやすさはもちろんのこと書き出しの展開の面白さが重要になってきます。動画を倍速で見ることが多くなってきたため、見るのも飽きるのも早いです。

 なので今後、面白いプロットを書けることが、今まで以上に重要になってくるでしょう。

 ただし、プロットだけ書けても意味がなく、文法が正しく使えて長編小説が書けるだけの技量と能力があることが前提です。



 本は、書店で購入して一ページずつめくって読んでいました。ですが、いまは画面を見ながらパーッとみて流す感じで、面白いかどうかを判断しています。

 自分が持っている時間を無駄にしたくない。「時間を資産」と考えるようになったからです。

 今の社会は、ネットで募集をかけたり、SNSでコメントを手軽に貰ったり、時間をかけず手軽にできてしまいます。

 なので、「企画だけでいい」「プロットだけでいい」「冒頭だけでいい」と、募集する側も手間も時間も、お金もかけない時代になりつつあります。

 実際に「タイトルだけグランプリ」「書き出し小説コンテスト」「書き出しだけ小説」「自作小説の一節コンテスト」なども存在します。

 そんな時代なので、作家に求められている資質にも、新たに「冒頭で読者を引き込む力」「面白そうなプロットを作る力」が加わってきています。

 文章力や構成力、長編を書ける力などが求められるのは当然なのですが、「わかりやすく面白そうに作品の魅力を伝えられるプレゼンテーション能力」が作家に求められていくでしょう。



 そもそも、受賞して作家になったあと、「企画書を出してください」と編集に言われます。

 平たくいえば、次回作です。

 受賞後の次回作は小説募集に応募するのではなく、作品内容をわかりやすくまとめた企画書を作って、編集者と打ち合わせて決めていきます。

 打ち合わせが通らなければ、企画書の作り直しです。

 良ければ企画会議にかけられます。

 会議には、編集だけでなく書店に卸す営業の人などいろいろな人が集まって、売れるかどうかを話し合います。メディアミックスを考えていれば、その関係者も同席して話し合うわけです。

 通らなければ、企画書のやり直しです。

 企画会議が通ったら、つぎは偉い人チェックです。

 出版の社長さんや会長さんが「作っていいよ」となってようやく、作品を執筆できるのです。



 なので、作家を目指すのであればプロットを書けるようになっておくと、後々得をします。

 なにより、今のうちにたくさん作っておけば、企画書を出す時にすぐ出せます。たとえ没になったものでも残しておけば、時代が変わったり手直ししたり、別の出版社で出したら通るかもしれません。

 プロットが書けるようになれば、作品作りにも活かせますので、無駄になることはありません。

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