強面ぬいぐるみヤンキー熊!

まめでんきゅう–ねこ

ぬいぐるみヤンキー熊

俺の名前は、名乗るほどでもない。まぁ、強いて言うなら、ぬいぐるみヤンキー熊だ!


俺はヤンキーの魂が集って生まれた人間ではないものの、人間に限りなく近い存在だ。

まぁ、玩具おもちゃと中でもぬいぐるみは特に子供との距離が近いからな。


さぁてと、自己紹介も済んだところで、俺の武勇伝を紹介する。



俺の1日は、持ち主の病木やんき紅蓮男ぐれおの家から抜け出すところから始まる。



「じゃあ、母ちゃん、父ちゃん、行ってくるぜぇぇぇ」

「「OK」」


俺の仮の姿は熊のぬいぐるみそのもの。めちゃくちゃ小さくて、安い熊だ。まだ値札がついているのだが、気にするな。




さぁ、彼のバッグに乗って、バス停まで来た。俺はもちろん無賃乗車だ。しゃぁねぇだろ。



バスが出発した。


午前8時。毎日遅刻してるからな、紅蓮男は。彼は急いで降りるが、俺はそのままバスに乗り続ける。当然彼は俺に気づいてないし、周りの客も気づいてない。


さぁて、ここから俺の独壇場!俺は仮の姿から、真の姿へ変える!



ビカァァァァァァァァァァン




人型になり、身長もデカくなり、そして学ランも来た。しかし、顔だけは人じゃないこの姿こそ、真の姿だ!!!!!!



早速俺の出番が来たようだ。イスに老人が座ろうとしているが、不良2人組が席を譲らずに、むしろバカにしている。


俺は、全世界の民の味方だ。しかし、不良は許さない!



「おいお前ら」

「ああ?なんだよテメェ」

「その席をそこの老人に譲れ」


「あ?なんだよお前……」

「ちょ待て、お前、この方を知らないのか?」

「ああん?こいつ?知らねぇよ」

「この方は、あの伝説の、スーパーベアー人なんだぞ!ほら、この顔めっちゃ怖い!」

「は⁉︎⁉︎⁉︎……す、すみませんでした!」


不良2人組は去っていった。


「さぁ、この席にお座りください」

「あ、ありがとうございます」



また1つ、だれかの希望を光らせてしまったようだな。










バスを降りた俺は、スケバンどもに風船を取られて泣いている子供を発見した。


「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」

「へへへへ、これ、欲しいか?あげないよぉぉ!」

「おい待てお前ら!!!!!!」


スケバンどもは俺の方を見た。


「なんだよお前……!」

「俺はぬいぐるみヤンキー熊!俺は全世界の民の味方だ。しかし、不良は懲らしめる!」

「ああん?皆んなやっちゃいな!」


スケバンどもが俺に向かってきた。しかし、俺の強面に怯えて、怯んでしまった。


「無理っす!こいつ、めちゃくちゃ怖いっす!」

「くっ、何してんだよ!なら、私がやる!」


女番長が向かってきて、右ストレートを俺にぶち込んだ。


しかし、俺の体はモフモフだ。全ての攻撃を吸収する。


「は⁉︎手応えがない……⁉︎」

「今度は俺の番だ」


俺は彼女を強く睨んだ。すると………?






「ひっく、う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん、怖いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


子供が泣き止み、スケバンどもが泣いてしまった。子供は戸惑っている。


「ほら、君の風船、取り返したぞ」


「あ、ありがとう……ございます」

「何かあったら、いつでも呼んでくれ。すぐに助けにくる」


「う、うん」



ふ、ヤンキーというのは、見た目で判断してはいけないものだぜ?


読者の皆様も、何かあったら、俺の名前を呼んでくれ。強面で恐怖を無くしてみせるぜ。





             完







【主題歌】↓「俺のヤンキー」


俺のモフモフハンパじゃね〜。そんじょそこらの毛糸じゃないぜ〜。


超絶強さと強面こわもてで〜!


俺の、俺の、おーれーのーヤンキー!

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