49話 肉食獣たちのBBQ
浜辺の散歩が終わって帰ってきたら、玉里にキャンプ場の方へ来るように言われる。
俺と町張以外は、軽く上着を羽織っており、先にキャンプ場まで戻っていた。
「それでは! お次はお楽しみのBBQタイムー!」
玉里は、マイクロビキニに羞恥心を覚えたのか薄手の白い半袖トップスを着てから、キャンプ場にあるBBQコンロの前で場を盛り上げようとする。
だが、当然このメンバーの中で、「イェーイ!」なんて呼応するバカはおらず……佐伯と町張は黙々とコンロでBBQの準備を進め、美代は俺と一緒に串に野菜や肉を刺す作業をしている。
「もー! みんなノリ悪いじゃん!」
「逆に、ここに来てからノリが良かったことないだろ」
「あ、あったよ! ほら、えっとー」
無いだろ。
「つーか、BBQって昼からやるんだな。てっきり夜かと思ってた」
「夜もやるよ?」
「は?」
「昼も夜もBBQに決まってんじゃん! お肉食いまくって狂乱の宴にしようね?」
それを聞いた佐伯姉妹の目の色が変わる。
「あいつらの変なスイッチを押すなよ」
ここら辺のスーパーの肉という肉が消えても俺は知らんぞ。
✳︎✳︎
BBQの準備が終わると、早速、肉やら野菜やらを焼き始める。
全員立ちながら、大きめのBBQコンロを囲むようにしていたのだが……。
「お、おい……」
トングで調理する俺の右腕には玉里、左腕には美代が自分の身体を寄せてくる。
「お前ら離れろよ! 調理の邪魔だっての」
「嫌だ……BBQの時は二人占めできる約束」
「そうだよっ! 古徳くんは今、両手に華なんだから、喜ばないとっ」
「う、うぜえ……」
玉里はまだぺったんだからいいが、美代は……色々とヤバい。
今まで味わったことのないような、とんでもなくサラサラで柔らかい胸の感触が、直に腕へ伝わって来て、まだ夜でもないのにテントが……落ち着け、俺。
こんなので興奮したことが佐伯にバレたら、マジで●される。
ステイクール……。
「佐伯、そろそろこの肉焼けそうだぞ」
「……ついでにあなたの腕も焼いてあげようかしら」
佐伯は表情を一切変えずに真顔でそう呟く。
なるほど……もう手遅れだな。
今夜、テントの中で●されないことを願うのみ。
「古徳……あーん」
俺の左腕に身体を寄せながら、美代がピーマンと玉ねぎの刺さった串を俺の口元まで持ってくる。
「や、やめろよ美代。こんな全員の前で」
「……見てなかったら、食べるのかしら?」
「ちがっ、そういう意味じゃ」
「古徳……いつもより恥ずかしがり屋」
「俺は自分の保身に走ってるだけだ。佐伯、いい加減、その俺が美代とやましい関係があると勘違いするのやめろ」
佐伯は鼻を鳴らしながら「どうだか」と不貞腐れた。
「古徳くーん、こっちもー」
今度は右から玉里が肉の串を運んできた。
「お、おう」
俺は少ししゃがみながら、玉里の串にある肉を食べた。
「あっちち」
「冷ました方が良かったかな? じゃあ次はフーフーしてあげるね?」
「いらん」
「古徳……どうして私のは食べてくれないのに、玉里のは文句言わずに食うの?」
「そうよ。美代の時と道藤さんの時と態度が違うじゃない」
「そ、そりゃーねぇ。古徳くんとあたしって……そーいう関係だし」
「いや、肉汁が垂れそうだったから、食っただけだからな」
「「じー」」
「ちげーっての! 肉食獣どもは黙って肉食ってろ!」
「言ってくれるじゃない。本当に肉を食い散らかすわよ」
「左に同じく」
佐伯姉妹は焼けた肉を他人に与えない肉食獣の如く、次から次へと口に入れて行く。
こ、こいつら……。
「大狼、早速大変だね」
浜辺でそれっぽい話をした矢先にコレだから、町張が同情してくれる。
町張……お前だけがこの場唯一の良心だ。
こうして、BBQやらなんやらをしていると、段々と日は暮れていった。
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【妹が"義妹"ってことを俺だけが知らない〜双子の美人姉妹は何も知らない兄を堕としたい〜】
https://kakuyomu.jp/works/16817330656504689303/episodes/16817330656504870559
昼と夜の【新作二枚看板!】でやって行くので、こちらもよろしくお願いします。
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