宇宙海賊団ヌーグルミ

景綱

第1話


 恐ろしい事実が全世界に発表された。

 数か月後に宇宙からの侵略者が現れると。


 その名も『ミルグ』。

 ヌーグルミ宇宙海賊団の頭領だ。

 姿かたちは可愛らしいぬいぐるみ。その愛らしさに騙されて、あっという間に侵略されてしまうとか。


 クマのぬいぐるみ姿の頭領ミルグ率いる五人の精鋭部隊ヌッサが脅威的な存在らしい。

 猫のぬいぐるみのニャフス、犬のぬいぐるみのワンサ、うさぎのぬいぐるみのピョリン、ゾウのぬいぐるみのパウン、キツネのぬいぐるみのコンコースの五人だ。

 この五人にかかれば、地球は一週間で制圧されるだろうとの見解。

 はたして、地球防衛隊は愛らしい敵に打ち勝つことができるのか。


「宇宙海賊団が来たぞ! いけ、いけ、いけーーー! ミルグを倒せ!地球防衛隊」

「ぬふふ、そんな防衛力で我らには勝てぬ。このミルグ様の力を甘くみるなよ。いけ、精鋭部隊ヌッサ」


 クマのぬいぐるみを揺らして、笑い声をあげる。次々とぬいぐるみを持ち替えて笑い声をあげてブロックで作った街を蹴散らしていく。


「ほら、まーくん。出かけるから早くぬいぐるみを片付けなさい」

「えっ、ママ、待って待って」

「待てません。早くしなさい」

「はーい。じゃ、頭領ミルグに精鋭部隊ヌッサのみんな、またあとで。敬礼ビシッ」


 クマのぬいぐるみの手を持ち、同じく敬礼をさせて、おもちゃ箱にぬいぐるみたちとブロックを放り投げていく。


「ほんと、おかしい。まーくんの想像力にはかなわないわね。ぬいぐるみの宇宙海賊団だなんて」

「ママ、もしかしたら将来まーくんはすごい映画監督になれるかもしれないよ」

「パパったらもう。けど、そうなったらすごいかも」

「それはそうと、まーくんはあんな難しい言葉をどこで覚えたんだ」

「さあね。アニメとかじゃないの」

「パパ、ママ、違うよ。ユーチューブだよ。そうだ、帰ったら、地球防衛隊と精鋭部隊ヌッサの戦いをはじめるから見てね」


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宇宙海賊団ヌーグルミ 景綱 @kagetuna525

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