くまのぬいぐるみには
水谷一志
第1話 くまのぬいぐるみには
一
このミッションは、絶対成功させなければ……。
俺はクライアントに、物(ブツ)を確実に届けないといけない。
二
ここにはくまのぬいぐるみ。もちろんこれは二重構造。中には綿があり、そのまた中には……、物(ブツ)が入っている。
今回のクライアントはぬいぐるみが大好き……なのはもちろんかどうかは分からないが、物(ブツ)の方は大好きに決まっている。
この物(ブツ)でまた新たな火種ができるかもしれないが、そこはクライアントの利益のためだ、しょうがないな。
三
しかし最近のクライアントは成長も早いのか、抗争も激しさを増している気がする。
これには注意が必要……、ただ俺にも限界がある。どこまで首を突っ込んで良いのか分からない。
クライアントに肩入れも敵対勢力と内通も違う。ってか肩入れ、内通はゴッドマザーの許可が得られないだろう。
四
そろそろミッション本番だ。おれはくまのぬいぐるみの「中身」を確認。その後クルマの後部座席にぬいぐるみを置いたのは少しでもその存在を隠すためだ。また慎重なアクセルで以外とヤワかもしれない物(ブツ)を安全に運ぶ。……と言いつつ俺は急ぐことも忘れない。
五
さて着いた。ここは一世一代の勝負の場所。まあ何の変哲もない住宅街だが今日で大きな運命が決まる。
取引場所に到着した俺はまずゴッドマザーの存在を確認。そしてクライアントを遠目で見る。
とりあえず、クライアントにもその敵対勢力にもぬいぐるみの存在を気づかれないようにする。過包装はこの場合は正解だ。もの自体に注目を浴びるのは仕方ないが、
ここで物(ブツ)に感づかれたらマズい。
そしてクライアントの近くに到着。包装をこちらも手伝いながら解く。
※ ※ ※ ※
「ハッピーバースデー!プレゼントだよ!」
「くまのぬいぐるみ!?」
「チャックも開けてみて!」
「……【水鉄砲】だ!」
「いいかい、お兄ちゃんと仲良く使うんだよ」
(終)
くまのぬいぐるみには 水谷一志 @baker_km
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