第8話 お別れらしい
何故か神様と一緒に『ダイナソー』と叫んだ後、目の前の地面に魔法陣が現れ、七色に光る魔法陣の光が強くなり、思わず目を瞑った。
約5秒が経ち目を開けると、目の前に角があった。またこれか。
少し後ろに下がり、全体像を見る。
角が真っ黒なこと以外は図鑑通りの姿だ。なんだあの角。病気じゃないよな?
まじまじとトリケラトプスを見ていると、神様から話しかけられた。
「どうだい?実際に恐竜を見た感想は?」
「未だに現実味が無いな・・。まさか生で観れるとは。そういえば、何で角はあんなに真っ黒なんだ?」
「あー、それは強化のせいだね。試しに『鑑定』を使って見てみるといいよ!」
『鑑定』はここで使うのか。
「『鑑定』」
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名前
年齢 0歳
種族 トリケラトプス
身体Level 1
体力 600
魔力 400
運 30
スキル:『突進』『自動回復』『炎熱耐性』『スイング』
レアスキル:黒武装・纏
称号:『マサーシーの恐竜』『思いやり』
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「えっ⁉強くね?強さの基準がよくわかってないけど、多分強いんだろうな。」
「平均的な冒険者ぐらいの強さはあるね。君のステータスは、戦闘に従事しない人達の基準値に合わせたからね。これなら、この辺りの魔物なら余裕で倒せるね!」
俺、弱くね?このステータスで生きられるかなぁ。そんな事を考えていたら、トリケラトプスが俺に寄り添ってきた。
「そうだよな、お前がいるもんな!」
角を撫でながら感謝の気持ちを伝える。優しい奴だ。
「ちなみにその子、女の子だよ?」
下手なこと言わなくて良かったぜ。一発で即死だったぞ。
「そろそろ、僕も神界に戻んないと!」
どうやら時間らしい、結構長い間話してたな。
「神様、色々とありがとうな!!」
「こちらこそ、こんなにも楽しい気持ちになれたのは初めてだったよ!」
最後に、聞いておきたい事がある。
確信があるが、一応本人から聞いておきたい。
「最後に一つ。あんたは何の神様なんだ?」
話の途中に出てきた『商売の神様』、神様にも役割があるとして、こいつはおそらく。
「君が気付いている通り、僕は『恐竜の神様』だよ。地球で言う、ジュラ紀や白亜紀の時代に生まれた神様さ!本当はもっと、かっっこいい姿をしていたんだけどね、神様は信仰する人達の思いの分、そのまま神様の力になるわけ。力が無い神はこんな姿になっちゃうんだ・・。」
少し悲しそうな顔をしながら、そう答えた。
恐竜が絶滅してから約2億5000万年。こいつはそんなにも長い間も恐竜を愛し続けた。他の神様との交流があるかは分からないが、力の無い神の扱いは酷いものかもしれない。
人間の基準で考えたら駄目なのかもしれないが、力無き者はいつしか虐げられるものだと、俺は考えている。
「大丈夫だ!俺はあんたを信仰する。元々、無神論者の俺が言うんだ。自身持てよ!」
「ふふっ。ありがとう!君もこれからの旅、気を付けてね!」
そう言うと、神様の画面が消えた。時間ギリギリだったのだろう。
「ああ、相棒がいるから大丈夫だ!また会おう!」
日も完全に落ち、誰もいなくなった森でそう呟いた。
太古の召喚術士~とりあえず『ダイナソー』って叫ばない?~化石掘ったり、復元したり。 未来アルカ @syeaksupia
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