必殺!! ぬいぐるみ爆弾!!!

砂漠の使徒

第1話 まさかこれが……

「社長ー。こんな小包が」


「ん?」


 私はとある企業の社長だ。

 数年前に一から立ち上げたこの会社を一大企業にすべく、日夜努力を惜しまず頑張っている。


 というのは、表の顔。


 実は私は悪の組織「ゴツゴツオープナー」のボスなのだ!

 夢は大きく世界征服!


 そのためにも、まずは資金集めだ。

 コツコツ会社を大きくしていくほかあるまい。


「開けちゃっていいですか?」


「ああ、いいとも」


 社長に対してだいぶフランクに絡んでくる彼は、魚沼うおぬまくん。

 私の秘書をやってもらっている。


 というのは、表向き。


 彼こそは我が「ゴツゴツオープン」の指揮官。

 本気を出せば半魚人に変身できるぞ!


「なにが入ってますかね?」


「この大きさなら、ふむ……」


 一応推測は試みたが、見当もつかない。

 そもそも、今日届く予定の荷物なんてなかったんだがな。


「ぷちぷちがぎっしり……」


 ぷちぷちというのは、あの潰すと気持ちいやつだ。

 難しく言うと緩衝材。

 それが丁寧に敷き詰められている。

 よほど大事なものなのだろう。


「あ、箱が一つ」


 中にはもう一つ小さな箱があった。

 目当てのものはこの中だろうな。


「さて、中には……っ!」


 箱を開けると、かわいらしい熊のぬいぐるみが一つ。

 そのお腹には時計がくっついている。

 タイマーは残り十五秒だ。


「メッセージカードもありますよ?」


「ほう……? 読んでみろ」


「えーと……日頃の感謝を込めて、ぬいぐるみを送ります。中には時限爆弾が入っているので、早めにご対処ください……だそうです」


「……なるほど」


 つまり、このかすかに聞こえるカチカチ音の正体は。


「社長! これどうします!?」


「安心しろ、こういうときに言う言葉がある」


「なんすか!?」


 私は大きく息を吸った。


――――――――――


「爆発オチなんてサイテー!!!」


 そんな声が、ビルが爆発する直前に聞こえた気がする。


「まあ……」


 これが一番安全なのよね。

 変身する手間も省けるし。


(了)

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