不運。

七海 司

誰も悪くない

 3月3日 中学校卒業遠足 1組と書かれたバス車内にて。


 僕は頭を抱えていた。

 遊園地のお城の前で告白をしようと決めてプランを組み、日浦さんとも約束を取り付けることもできた。園内は班別行動だが、なんとか班員の買収せっとくもでき2人きりになる時間を確保してくれることになったと言うのに。こんなことなら姉に頼み込んで服を一緒に買いに行くべきだった。そうすればこんなアクシデントは起こらなかっただろう。

 状況の確認。

 プランにはなんの影響もない。ただ、気分の問題だ。

 こんな状態で告白を受けるのは笑い話として思い出に残ってしまう。

 こんな状況で告白をするのは黒歴史に名前を刻んでしまう。

 考えろ。もう。この状況は変えられない。

 隣のバス座席の三本杉を改めて確認してため息が口からこぼれ出る。斜め前に座っている松本さんの服装を見ると天を仰ぎたくなる。

 学校1のバカップルとして名を馳せている三本杉と松本さん。誰もが予想した通り、ペアルックで合わせてきている。

 問題は、バカップルと無関係な僕の服装も彼らと同じということだ。

 誰も悪くない。

 ただ、服装が被っただけだ。

 ただ、バカップルとペアルックに巻き込まれただけだ。

 ただただ不運なだけだ。

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不運。 七海 司 @7namamitukasa3

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