姫様とクマのぬいぐるみ(そして子供の女)
Ab
ぬいぐるみと姫様と子供の女
姫様の防衛任務に就任してから今日でちょうど一ヶ月。
いつものように私は人間共に睨みを効かせて背中の姫様を守る。
「見てママ! クマさんのぬいぐるみ!」
小さな人間が私を
おいおい、相手がぬいぐるみだからって指を刺すんじゃないよ。私も同じことをしてやろうか? まあ、私の場合は指がないので腕ごとお前に向けることになるけどな! 動かせればの話だけど。
「これほしいなぁ」
「もう家にたくさんあるでしょう?」
「えーー」
駄々をこねる人間の手を大きな女が引っ張っていく。そうだそうだ、早くどこかへ行ってしまえ。
お前たちみたいな子供に買われると私たちの一生は暴力と落書きまみれになってしまうからな。
っと、また子供だ。女の子。
今日は多いな人間が。
「…………」
「…………」
無言で見つめるな。
しかし、後ろの姫様だけは私が守らないと。この店にやってきた時から私はあの可動域の広い関節とたくさんの洋服に衣装チェンジできる姫様を守ると決めたんだ。
「…………」
あのー、そろそろどっか行ってくれませんかねこの子。
っておい! 触るな! 持ち上げるな!
ひ、姫様っ!
私この子に連れて行かれる!!
「お買い上げありがとうございましたー」
あーーっ、終わった。
遠くに見えた姫様の瞳はどこか寂しそうだった。
「海斗くん、海斗くぅんっ!」
あれから一週間ほどが経ち、最近はこの女に海斗くんと呼ばれ抱きしめられる日々。
なんなんだ。
誰だよ海斗くん。
「ふふっ」
というか、あれ? それってもしかして姫様?
「ずっと好きでした」
「私もだよ海斗くん!」
一人二役のおままごとが始まる。
私も姫様のこと好きです。これが役得ってやつなのか。
「きゃっ、ダメだよ」
あのあのあの!?
私に姫様の服を脱がせようとするな!
あ、肩が……胸が……下半身がっ!!!
「ふふふっ」
こ、子供ってやばい!
ああ……姫様、ごめんなさい。けどちょっとだけ嬉しいかも。
姫様とクマのぬいぐるみ(そして子供の女) Ab @shadow-night
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