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地味子SS

こんにちは。
お久しぶりです、Abです。

さて、突然ですが、眠れない夜にふと書きたくなって地味子、佐藤彩音のSS(ショートショート)を書いたのでそれをここに載せておきます«٩(*´ ꒳ `*)۶»

ちょっぴり小話で本編とは別物ですが、時系列的にはお泊まり会の直後になります。短いですが、いちゃいちゃしてると思うので良かったら。。。

今後も超不定期でなにか近況ノートにあげるかもしれません。その時もまた気が向いたら読んでいただけると嬉しいです(ง ˘ω˘ )ว

ではでは!

(p.s. ラクガキなので温かい目で何卒)




◇ ◆ ◇



 長いようで短かったお泊まり会ももうあと数時間で本当に終わりを迎えようとしている、翌日の早朝。
 カーテンの隙間から差し込む光はまだ弱く、なんならぼんやりと仄暗い。どうやら少し早起きしすぎたようだが、寝起きは怖いくらいにバッチリだった。
 まあ、理由は明らかなんだけど。

「……」
「………………」

 ところで。
 目が覚めたら完全に無防備な姿の美少女が俺にくっついて眠っている件について。……え、なにこれやばい超可愛い……。今ならちょっと、ほら、たまたま寝返りを打っただけなんです〜って|体《てい》で佐藤のこと抱きしめちゃっても罪には問われないんじゃないの?
 なんならちょっと手に触れてみたりして。

「…………」

 ……だ、い、じょうぶそう、だな。
 よし、反応はない。心地良さそうに小さな寝息を立てたまま、可愛すぎる彼女の寝顔がそこにある。

 佐藤を起こさないよう細心の注意を払いながらも、彼女に触れたい気持ちは止まらない。俺はさらにゆっくりと自分と佐藤の手を重ね、指を絡めてみる。
 脱力した佐藤の指はいつも以上に細くて繊細で柔らかく、外から下手に触れることを躊躇わせてくるような感じがしたが、それも優しく指を進めていくうちになくなり、やがてふにゃりともう一歩、完全に脱力した。そんな佐藤の無意識の許しを得て、俺も指を奥までさし込んだ。

「…………んぅ…………」

 すると、不意に佐藤が身をよじる。
 やば、と思ったのも束の間、佐藤は繋いだ手を僅かに解いて、そのままそれを自分の胸に包んで抱き込んだ。

「や…………、」

 これはさすがにまずいと思って声を出しかけ、グッと堪えて踏みとどまる。
 そもそも寝ている佐藤に勝手に触れようとしていたのは俺だし、何より温かいし柔らかいしじゃなくて佐藤が今もし目を覚ましてしまったらさすがに多少嫌に思うんじゃないかというか本当にあったかいし……。
 眠っていて体温が上がっているのだろうが、それにしてもなんかこう男とは違う温かさを感じざるを得ない。
 ちらっと佐藤の寝顔を覗き見ると、心なしかさっきより笑ってみえる気がする。
 嬉しそう、というか、どこか楽しそうな雰囲気が……。

「…………あの、佐藤」
「…………」
「…………もしかして起きてる?」
「…………」

 無声音でそう問いかけてみる。
 返事はなかった、が……。

「…………ふ、ふふ……っ」
「……おい」

 小さく漏れた彼女の吐息は、明け方の静かな部屋には十分すぎるほどよく響いた。
 それを自分でも聞いて観念したのか、彼女はもう誤魔化そうとせずに口許を緩めて笑い出した。

「ふふふっ、ごめんなさい。実は、少し前から起きてました」
「……いつから?」
「えーっと……、その、日向くんが私と手を重ねて、指をからめはじめたくらいから、です」
「マジか……」

 そこからの微妙な駆け引きなんかは全部佐藤にバレていたらしい。特別ダメなことはしていないつもりだが、それでもなんかもう超恥ずかしい……。

 そっと空いている方の腕で顔を隠すと、佐藤がまた楽しそうに続ける。

「日向くんが私を起こさないように気遣ってくれていたの、触り方からとってもよく伝わってきていましたよ」
「勘弁してくれ……」
「ふふっ、日向くんこそ。もう観念してください。目が覚めた瞬間から、大好きな人の大好きな温もりを感じさせられちゃったんですから……。私はもう、幸せすぎて、だめだめです」

 とろとろに蕩けた笑顔をみせながら、佐藤がゆっくりと動き出す。もぞもぞ共用の布団の中を移動して、やがて上半身を軽く、寝転ぶ俺の上に乗せてきた。
 言うまでもなく顔が近い。さらさらな黒髪に至っては俺の首筋を掠めていた。
 そんな中で数秒ほど見つめ合い、吐息が熱を帯びた頃、俺は彼女を背中から抱き寄せた。そのまま短く唇を交え、数秒ほどで佐藤が再びころんと横になる。

「……ぁぁ。本当に、幸せすぎて困っちゃいますね」
「……だな。俺も、目が覚めた瞬間から大好きな子の寝顔が拝めて最高だった」
「ねがお……って、わぁっ! そ、それはできれば忘れてくださいっ!」
「え〜〜」
「ひ、日向くんっ……!」

 なんて、そんな会話をしながら……
 俺たちは付き合ってから初めての朝を迎えたのだった。

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