転生チートを収納に全振りしたら魔法使い一門の統領の娘に生まれていました。生活魔法すら使えないので放置子です。
とびぃ
第1話
あの子が夢を叶えるために旅立ってから、職場はすっかり静かになってしまいました。
私は日課になった伝使板の確認をします。
この伝使板は希少な魔石を使い作成した魔具で、対になる伝使板に書かれたものを写します。数回使い切りの仕様なので容易く使えません。なんとか改善したいものです。
ため息を吐きそうになり慌てて飲み込みます。
ため息をつくと幸せが逃げちゃうんだよ、というあの子の言葉を思い出したのです。
仕事をするための席へ着く前にもう一度伝使板を確認すると、じわりと文字が浮き上がってきました。
「皆様!あの子からお便りが届きましたよ!」
声を上げると皆が席を立ち伝使板を囲みます。
「では読み上げますね」
後で読み返せるように紙に書き写さなければなりませんね。
『拝啓おじ様&パパ達へ』
可愛らしい文字にあの子の声が重なります。
『無事に迷宮都市に着いたよ ヾ(*´∀`*)ノ゛』
何事もなく目的地に着いたようで安心しました。
『みんなが作ってくれた魔具で快適な旅だったよ!☆⌒(*ゝ∀・)b♪』
あれが欲しいこれが欲しいとアイデアを出してくれて、色々な魔具が出来上がりました。
あの子のおかげでより研究開発に没頭できるようになりました。
あの子の欲しいものをたくさん作ってあげて、夢を叶えるお手伝いをしたいですね。
『街は見たことない人達がいっぱいで、キョロキョロしてたらモッフモフのワンワンにナンパされちゃった。めちゃカワヨ (●´∀`)ノシ V・w・Vノシ 』
犬がナンパをするとはどのような進化を遂げたのでしょうか、気になります。
『飼い主?はエロフなお姉さんでした (*/∇\*) キャ 』
時々意味を図りかねる言葉を使いますが、悪い出会いでは無かったようですね。
『仲良くなってパーティに入れてもらったよ ゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚』
パーティを組めたのですね。夢への第一歩を踏み出せたようで何よりです。
『パーティメンバーは、火力担当魔法使いのすごいエロフのお姉さん。ちょーキレイィ (*´艸`) 』
どうやら綴りを間違えていますね、指摘しておかなければなりません。魔法使いとのことですしエルフの方とご縁があったようです。
『すごい回復担当の甘系バインバインなお姉さん。しゅごぃ (σ´∀`)σ 』
甘系?どう甘いのでしょう。バインバイン?弾むイメージですか?優しい元気な女性ということでしょうか。あの子と気が合いそうですね。
『メインは斥候&マスコット担当の元気いっぱいすごい忍者少年。かわいぃ (((`・∀・´)ノ-★ -★ 』
忍者。霞地方の特殊職ですね。使用する魔具が気になります。
『盾担当のお兄さん。静かなること山のごとし?なんか壁 Σ(・ω・ノ)ノ 』
これは泰然とした方ということでしょうか。あの子が楽しそうで何よりです。
『そんなキャラ強メンバーを束ねるリーダーは、お料理担当のお兄さん。とってもすごいんだよ!みんなの胃袋がっちりつかんでるよ!わたしもつかまれちゃった (*´∀`*)ゞ』
なんということでしょう。あの子が誰かに捕まってしまいました。
『ママちゃんといい勝負だよ! (*´∀`)ノョ―――ゥ☆彡 』
かなりの腕前のようです。これは仕方がないことと認めなければならないのでしょうか。
『あと魔具も自作しててね、みんなと合うんじゃないかな (●´∀`)人(´∀`●) 』
それはとても気になります。どんな人物かしっかり確かめなければなりませんね。
『今度探索行ったらまたおたよりするね (*´Д`)φ_ 』
探索には危険が付き物なので心配です。色々持たせていますが大丈夫でしょうか。
『じゃあまたね~ (@^0^)/〜 』
「皆様、あの子の職場訪問を行いましょう。確かめねばならないことが沢山あります」
皆の気持ちは一つです。アニキさんに手配して貰わなくては。
あの子にお土産を沢山用意しましょう。
転生チートを収納に全振りしたら魔法使い一門の統領の娘に生まれていました。生活魔法すら使えないので放置子です。 とびぃ @tobika
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