第3話 最高のクリスマス

 クリスマスの朝、マーサちゃんはなんだか懐かしい匂いで目を覚ましました。


「うわぁ~」

 マーサちゃんは寝起きのまなこをゴシゴシとこすっています。


「『こんなの要らない!』とか言われたらどうしよう!?」

 クマのぬいぐるみはビクビクしていました。


 マーサちゃんはクマのぬいぐるみに近づくとスンスン匂いをかぎました。

「おじいちゃんの匂いがする!」


 そうして大きなお腹にぎゅうっとしがみつきました。

「おじいちゃんのお腹みたい!」


 少し硬くなった毛並みを小さな両手でなでながら、マーサちゃんはクマの顔を見上げました。

「ゴワゴワであったかい、おじいちゃんの手みたい! あなたはおじいちゃん? マーサの大好きなトムじいちゃん?」


 クマのぬいぐるみには「トム」という名前とマーサちゃんの笑顔がプレゼントされました。


「ああ、最高のクリスマスだ!」

 トムはマーサちゃんをお腹に乗せて嬉しそうにつぶやきました。

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育ちすぎたぬいぐるみ 仁科佐和子 @sawako247

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