第2話 収穫の時
モミの木の枝がたわむほど大きくなったクマのぬいぐるみの前に、サンタさんがやってきました。
「ホッホホーイ! 随分と大きく育ったねぇ!」
陽気なサンタさんに、クマのぬいぐるみは少し不貞腐れながら答えました。
「ずいぶん長いこと、こうして木にぶら下がってますからねぇ」
そんなクマのぬいぐるみに、サンタさんは一枚の紙を見せました。
「そぅら、マーサちゃんからプレゼントのリクエストが来たよ」
そこにはたどたどしい文字が並んでいます。
「おじいちゃんに会いたい?」
手紙を読んだクマのぬいぐるみは首を傾げました。
「マーサちゃんは先月大好きなおじいちゃんが天に召されて寂しい思いをしているんだよ。マーサちゃんを慰めてきてくれないかな?」
「でも僕はマーサちゃんのおじいちゃんじゃないし……こんなに大きくなっちゃって、毛もパサパサだし。マーサちゃんを悲しませちゃうんじゃないかな?」
クマのぬいぐるみは悲しそうに顔を伏せました。
「大丈夫だよ。君ならきっと大丈夫!」
サンタさんは自信をもってそう言うと、ハサミを取り出しました。
サンタさんはモミの木の枝からクマのぬいぐるみを収穫すると、自分の隣に座らせました。
クマのぬいぐるみは大きくて、まるでサンタさんが二人並んで乗っているみたい!
「ホッホホーイ! さぁ、いこう!」
トナカイのソリは星の瞬く夜空をグングンと登っていきます。
「うわぁ、すごい!」
クマのぬいぐるみは宝石箱をひっくり返したような光景に胸を躍らせました。
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