育ちすぎたぬいぐるみ

仁科佐和子

第1話 プレゼントの木

 サンタクロースの国にあるモミの木に、今年もたくさんのプレゼントが実りました。


 サンタさんたちはモミの木の周りを飛び回って、子どもたちへのプレゼントを袋に詰めていきます。そうしてトナカイの引くソリに乗って飛び立っていきます。


 モミの木にはぽつんと一つ、くまのぬいぐるみが取り残されていました。


「ああ、今年も選んでもらえなかった。最低なクリスマスだ!」

 クマのぬいぐるみは、淋しそうにため息をつきました。


 何年もモミの木にとり残されたぬいぐるみは、どんどん大きくなってしまいました。

 茶色いフカフカのぬいぐるみは少し色褪せ、ツヤツヤだった毛並みもパサパサになってしまいました。


「これじゃあもう、誰も僕のことをもらっちゃくれないだろうな」

 クマのぬいぐるみは、悲しくなってホロリと涙をこぼしました。

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