いぬちゃん

祇園ナトリ

いぬちゃんと私

 突然だが、私の腕の中にはいぬがいる。

 もちろん暖かな体温も無ければ生き物の匂いも無い。強いて言えば、何故か線香の匂いがするくらいである。


 その名前は「いぬちゃん」。いや、少し前には別の名前があったが、それにしても「おかあさん」なのでどちらを告げても他人には微妙な顔をされるだろう。


 彼女がそんなネーミングセンスもへったくれも無い名になったのにはもちろん訳がある。訳はあるのだが、理由は分からない。

 というのも、彼女が私の元に来たのは私が生まれた時。つまり物心つく前なのだ。だから彼女が何故「おかあさん」になったのかは全く分からない。


 別に我が家に母が居ないという訳でも無く、ましてや私は犬から生まれた訳でも無い。何故か気が付けば彼女はおかあさんであったし、幼き私はそれに何の疑問も持たなかった。


 ここで少し話が変わるが、私はクレーンゲームという物が大好きだ。でかいぬいぐるみ等が居れば喜んで取りに行くし、好きなキャラ等が居れば尚更である。


 また、某ポケットのモンスターも大好きで、もちろんそのショップにもよく行く。先日も散財したばかりだし、酷い時には二万程うちの子とのたまう子達のぬいぐるみを買い込んだ。馬鹿等とは言わないで欲しい。本人が一番理解している。

 ある日行った時にはでかいつぼみのあの子を買うべきか頭を悩ませた。散財したばかりだったので断念したが。


 ここまででお察しの通り、祇園ナトリという生き物はぬいぐるみが大好きなのである。寝ても醒めてもいぬちゃんが隣にいるし、某モンスターのアニメで考古学者でチャンピオンな彼女が登場した暁には、彼女のぬいぐるみと共に一喜一憂した。


 きっと、この先も私とぬいぐるみは密接な関係にあるだろう。全ての子達と共に在れるかどうかは分からない。ただ、これだけは言える。


 私と出会ってくれてありがとう。どうかこれからもずっと、そばにいて欲しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いぬちゃん 祇園ナトリ @Na_Gion

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ