あっしゅさん
あっしゅさんは、どこにいるのかしら?
ゆめうつつなのかもしれない。
あのね、ときどき、あっしゅさんは、ぼくに話しかけてくるの。
でも、ぼくには、あっしゅさんが何を言ってるのか、さっぱりわからないのよ。
ある日のこと、あっしゅさんは、ぼくにこう言ったの。
「あなた、さっきから、ずっとずっと、くちびるを舐めてるでしょう?」
ぼくは、恥ずかしくて、すぐにやめたの。
でも、あっしゅさんは、まだまだ続けるの。
「あなた、くちびるがひりひりするのが好きなんでしょう?」
あっしゅさんの言葉に、ぼくは、どんどん不思議な気持ちになってきたわ。
その日の夜、ぼくは、あっしゅさんのことをずっと考えていたの。
あの時のあっしゅさんの表情が、忘れられなかったのよ。
ぼくは、くちびるを舐め続けたわ。
どんどんとひりひりと痛くなっていくのに。
そして、ぼくは、気づいたの。
「あっしゅさんは、きっとぼくのくちびるに毒を塗っていたのよ!」
ぼくは、すぐに病院に行ったわ。
でも、医者には、何もわからないと言われたの。
それから、ぼくは、あっしゅさんに会わなくなったわ。
でも、あの表情が、ずっと頭から離れないの。
ぼくは、もう二度と、くちびるを舐めないわ。
終
アブジェクトな風景 鬱病鬼面 @chamsmart
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アブジェクトな風景の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます