間違って連れてこられた少女は騎士様に恋をする
鳴神とむ
第1話
「君が、クレハだな?」
「い、いえ、違いますっ……。私は妹の葉月です……!」
私は突然、異世界に飛ばされた。
本屋で漫画を買おうと棚に手を伸ばしたら、突然謎の光に包まれて、気づいたら西洋の鎧を身に纏った兵士たちに囲まれていた。
そしてその中から、王子様のような格好をした金髪イケメンが私に話しかけてきた。
「ハヅキ? クレハではないのか?」
この人、どうして私のお姉ちゃんの名前を知っているんだろう……。瞳の色が青いし、日本人じゃないよね? どうして言葉が通じるの? ここはどこなの?
「言われてみれば、違うな。クレハの方がもっと美人だ」
「……っ……」
た、確かにお姉ちゃんの方が美人ではあるけど、そんなハッキリ言わなくても……。
「すまない、どうやら間違えたようだ。まさか妹がいるとは……。お詫びはしよう。カイン、彼女を丁重にもてなしてくれ」
「ま、待ってください! 私はどうなるんですか!? 元の世界に帰れ……」
「すまないが、今帰すことはできない」
それだけ言うと、金髪イケメンは部屋を出て行ってしまった。
嘘でしょ……。元の世界に帰れないなんて、そんな漫画みたいな展開……。
私はハッとした。まさかここは『間違って連れてこられた少女は騎士様に恋をする』の世界なんじゃ?
確か表紙のイラストに金髪イケメンがいたような気がする。でも私はその漫画を読んでいない。だってついさっき、一目惚れして買おうとしてたところだったから……。
「大丈夫か?」
鎧を纏った兵士が座り込む私に手を差し伸べてくれた。
「俺は王立騎士団団長、カインだ。わからないことがあれば、なんでも聞いてくれ」
そう言うとカインは、兜を取って顔を見せてくれた。
黒髪イケメン……!
しかも瞳の色はエメラルドグリーンで、そういえば彼の姿も表紙に描いてあったような気がする。
じゃあもしかして二人の間に挟まれていた後ろ姿の少女のイラストは私──?
間違って連れてこられた少女は騎士様に恋をする 鳴神とむ @kurutom
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