腐ったパンの味
白川津 中々
■
休日深夜、安いウィスキーを炭酸で割って飲む。
後味が悪く腐った小麦粉の風味がする。レモンでも絞りたいところだが、今更外出する気も起きず諦めて粗末なピートを味わう。溜息しか出ない。
今日が終わればまた仕事。面白くもない作業に追われる日がやってくる。まともじゃいられないから酒を飲む。やってくる苦痛から逃れるために、酒を飲む。
一杯終わった。砂糖菓子みたいな氷を詰めてまた酒を作る。酔いが回り、配分が覚束ない。これじゃあ炭酸のウィスキー割りだ。不条理不条理。ただ酔い、ただ微睡む。
あぁ、明日は仕事だったか。なんだそんなもの、どうでもいいじゃないか。それより今は酒だ、酒。グラスに満たし、飲む。あぁ、安いウィスキーだ。腐ったパンの香りがする。けれど、やめられない……
腐ったパンの味 白川津 中々 @taka1212384
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