腐ったパンの味

白川津 中々

 休日深夜、安いウィスキーを炭酸で割って飲む。

 後味が悪く腐った小麦粉の風味がする。レモンでも絞りたいところだが、今更外出する気も起きず諦めて粗末なピートを味わう。溜息しか出ない。


 今日が終わればまた仕事。面白くもない作業に追われる日がやってくる。まともじゃいられないから酒を飲む。やってくる苦痛から逃れるために、酒を飲む。


 一杯終わった。砂糖菓子みたいな氷を詰めてまた酒を作る。酔いが回り、配分が覚束ない。これじゃあ炭酸のウィスキー割りだ。不条理不条理。ただ酔い、ただ微睡む。

 あぁ、明日は仕事だったか。なんだそんなもの、どうでもいいじゃないか。それより今は酒だ、酒。グラスに満たし、飲む。あぁ、安いウィスキーだ。腐ったパンの香りがする。けれど、やめられない……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

腐ったパンの味 白川津 中々 @taka1212384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る