本屋

本屋の楽しみ

　ここ、最近の本屋は目まぐるしく画期的だ。

　喫茶店の併設は然り、ネット検索に立ち読みならぬ坐り読みソファまで。

　もう訳がわからんと思いつつ自分もちゃっかり使用し、仕事終わりをここで満喫している。

（昔では有り得ない）

　小さい頃から本好きで本屋に寄っては絵本や漫画、それらを親やお祖父らにおねだりをしていた。そんな小さな自分が見たらこれは驚くだろう。

　絵本コーナーにはブロックや積み木、大きなサイコロクッションに恐竜までいる。

（こんなの見せられたら堪らん）

　現に、遊びに勤しむ子らがいた。

　こういうなんを見せられると時代かなぁと考える。

（こう思うのは年のせいなのかな？）

　と少し偏屈な自分がいた。

（あっ、でもこういうところは……）

　変わらないものもあり、あるコーナーに安堵を覚えた。

　それは本屋のお薦めコーナーと大賞のお知らせコーナー。

（これは世代が変わっても一緒なんだ。なんだかうれしいなぁ）

　本屋お手製のポップも在れば出版社が拵えたであろう案内文がついた紹介ポップ。本が積まれ、そこにもりもり飾られる紙になんだか愛着を感じた。

　気が付くとその場で本を取り、ページを開いていた。

（ああ、いいなぁ。こういう時間）

　気が付くと、横にも斜めにも人が立ち並ぶ。

（皆、思うことは違えど本を取り読む姿勢は変わらない。本好きの性（さが）だな）

　私は本を途中で閉じ、元の場所に戻した。

（さて、取り置きを購入して……と）

　レジに並んでいるとある物に目を惹かれる。

（一番くじ……何でもありだな）

　最近はコンビニでもファンシーショップやゲーセンでも見かけるアイテムだが一つ違うのが値段。

（前はワンコインの代物が今では以上か。それでも人気層が多いのだろう。すごいな……）

　最近の本屋事情に感心しながら常に思うことがある。

（本屋よ無くならないでほしい）

　自分のエゴを述べた。

　そして本を楽しみ抱え浮き足立ちつつレジに並んでいた。