たとえあなたに触れることができなくても。
棗ひかり
第1話 思い出
どうせ、私が自分の気持ちを告白して、あなたに返事を求めても、あなたは困って笑うだけで答えてはくれないんでしょ?
あなたを初めて見たのは小学6年生の時だった。
「お姉ちゃん!!遊ぼ!奈美と遊ぼう!」
「ごめんね、奈美…。お姉ちゃんこれから予定があるんだ。」
私のお願いを初めて断ったお姉ちゃんは、その日知らない男の子と一緒にいた。いや、男の子ではなく、男の人だった。彼は白く夕日に透ける髪に薄い茶色の瞳を持っていた。家の桜が満開だったから3月頃だったのだろうか。
彼は私を見ると私に簡単に自己紹介をした。
「こんにちは。僕はゆうがって言います。雪ちゃんの妹ちゃんだよね?よろしくね。」
「私、真希って言います。よろしくです。」
「ゆうがでいいからね。」
そう言うとゆうがはふわりと微笑んだ。本当にふわっと。
高校生になった今、ゆうがのあの笑い方を思い出すと、時々無性に会いたくなる。辛い生活全部投げ出して会って、抱きしめたい。抱きしめて欲しい。
まぁ、そんなこと天地がひっくり返ったって
私が死なない限り無理なんだろうけど。
だって、ゆうがは幽霊なんだから。
昔から何か普通の人とは雰囲気の違う人が見えていた。ぐちゃぐちゃの真っ黒い化け物らしき人達だって見えた。でもゆうがは、全然ぐちゃぐちゃでグロテスクなんがじゃなくて…。顔や体のどこにも傷一つついていなかった。今まで会ってきた人たちとはどこか違った。
幽霊以上人間未満みたいな。
私が友達と喧嘩した時は私の愚痴をただただ聞いてくれて。私の祖母が死んでしまった時はただただそばにいてくれて。志望校に合格した時は一緒に泣いて喜んでくれた。思えば私はゆうがと出会ってから喜怒哀楽を共有してきたといっても過言ではないくらい。
そんな優しいゆうがだから、
私はゆうがが世界一大好きだ。
こんな報われない気持ち絶対に言えないけど
♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
後書きみたいなやつ
初めまして!!第一話を読んでくれて本当にありがとうございます!!!
初めて小説というものを書いたんですけどどうだったでしょうか?第二話も必ず書きますので、よければそちらもよろしくお願いします!
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たとえあなたに触れることができなくても。 棗ひかり @hikari_128
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