道端で拾った美少女が今日からツンデレ妹になるらしい

@Perulu_

平凡な生活との決別

人にはそれぞれの考えがあると思う。大手企業に就職して安定した生活を謳歌したい、将来の夢に向けて努力を積み重ねたい、自分以外の誰かとその考えが被ることのほうが稀だろう。別に被っていてほしいと思ってるわけではない。ただ、俺 夜見 大翔は平凡な生活を死ぬまで続ける?冗談じゃない。そんな未来を心の底から嫌悪するどこにでもいるいるような高校一年生だ。


やけに周りが騒がしい、今日は平日だぞ?学校が楽しいような陽キャになれない学生にとって幸せな日ではないんだ 少しは静かに寝かせといてくれないか

『ん……うるさい、しずかに、して…』

「大翔?朝だよ早く起きなさい......起きないのね。そうね、分かったわ無理にでも叩き起こしてほしいのね」

『母さん?!今起きるからその手に持っている冷た〜い水が入っているコップを仕舞って!よ~く、考え直してね?その手に持っているものを元あった場所に戻すだけで一人の青年が救われるんだ......ちょっ!!』

一度怒った母さんをなだめようとしたせいで、俺の布団が尊い犠牲になってしまったが、どうにか難を逃れられたのでこれで良かったと信じ込むしかない。起こされてる身の俺が言えることではないが、もう少し優しく起こしてほしい

布団を外に干し、リビングに顔を出すと母さんの足取りがやけに軽い気がした。もう三十代なのだから大人の落ち着きを持っていてもおかしくはないはずなんだけどな…あぁ、そういえば今日は定期テストの結果が公表される日だったっけな。そう思い、朝のルーティンを済ませて、早足に学校へと向かった。自分で言うのはおこがましいが、俺はほかの人より多少要領がよく勉強に苦労はしなかった。特に英語は幼少期から母さんが教え込んでくれたおかげで難なく話せるまでに至っている。あんな母さんだが一応感謝はしている。

そんなことを頭に浮かべているとすぐに学校に到着した。重い空気とともに教室に入ると、こちらに俺の親友である田森 純一が近づいてきた。ちなみに、空気が重いのは朝からこの学校1の秀才くんである、西園寺 涼太に声をかけられたからだ。勉強ができるやつ特有の性格の悪さはなく、清々しいほどまでの聖人だ。あいつは顔も整っているため平凡の化身である自分と比較してしまって嫌気が差しているという始末だ

「昨日のアニメ、リアタイでみた?最後のライバルの帰還で展開が180度替わるってところでエンディングに入った時、つい勢い余ってテレビにリモコン投げて壊しっちゃたんだよね。」

そんなことを考えてる俺を気にも留めず話しかけてきた。開口一言目がこれか、俺は呆れながら言葉を紡いだ。

『何が言いたい?要件を端的に話せ』

「えぇと、今日から大翔の家でアニメみてもいい?」

『断固拒否する』

「おい待て、俺の目をよく見てみろこんなに真剣なまなざしでお前のことをみつめているんだぞ、何か心に来るものがあるんじゃないか?」

『毛当もない。第一お前の見たいアニメは大半が深夜に放送されてるだろ? あぁ、先生に呼ばれている気がするから行ってくるわ』

「おいまて!お前以外にこんなことお願いできる奴いないんだって」

この調子で学校にいる時間はずっと付きまとってくる。結局のところ、もし断ったら、大妖怪の怨念に匹敵する力で呪われそうだったので苦渋の決断をした。俺が録画をしといてやるから放課後に見に来いと言っても白旗を揚げないあいつの信念には思わず固唾を飲み込んでしまったから仕方がない。

そうこうしている内に授業が始まった。正直なところ…眠い 毎日しっかりと寝てるはずだが、毎回眠気の波が押し寄せてくる。それから何度格闘しただろうか、体感俺のほうが勝率が高かった気がする、これも誤差の範囲内だろう。


帰路を辿っているとき、あいつは夜九時ぐらいから泊まりに来ることを思い出した。5時間ほど時間がある。あいつが来たらできなくなるであろう宿題に取り組むか、推しの配信のアーカイブを見るか窮地に追いやられている真っ最中だ。あいつがいなければ...と思っても親友だからこれくらいは目をつぶ、待てよ。あいつが悪いのでは?やっぱり断るというそれはそれは素敵なアイディアも脳裏を横切ってきた。そんなことを考えていると、自分の家の道路沿いに段ボールが置いてあることに気が付いた。俺もそのまま通り過ぎようとした、でも

『この段ボールでかくね?』

目前の物体が自分の普段見かけるサイズの4倍程の大きさだったらスルーはできない。なぜだろうこれを見ないとオタク的イベントを逃してしまうそう思えた。一般人だと見逃すのもよい手段だろう。でも、俺の全神経がGOサイン出している。絶対に近づかないほうが良いと本能でわかっていても、理性はそれを許してはくれなかった。恐る恐る近づいてみると 

『えぇと、どちらの夢の国から出てきたお嬢様でしょうか?』

そこには二次元の美女がこの世界に引き込まれてきたのかと疑いを持ってしまうほどの美少女が寝ていた。正直このままずっと眺めていてもいいと思えるほどに可愛い。一瞬の出来事だったがオタクの固有スキル超推理により導き出した答えは

『...よし...』

天に向けこぶしを高く上げ、ガッツポーズを取ることだった。この世に二人といない美女にお会いできたのだから当たり前の行為だろ?その時、彼女が重たい目をこすりながら不機嫌そうにこちらを凝視し始めた。そんなにみられると顔に穴が開くんだが

「あなた誰ですか、私に何か用でもあるのですか?」

ラノベだとこういう時、十中八九相手がけんか腰に話しかけてくるので少し安堵してしまったからか、溜息をこぼしてしまった。

「人の顔を見て溜息とは、中々肝が据っているようですね」

そんなことはなかった。やっぱりあたりはきつかった。

『用があるのかって言われても、ここ俺の家の前なんだけど』

そういうと彼女は視線を彷徨わせて、最後には頬を少し赤らめていた。

「すみません、そうみたいですね。少し右の道路側にずれますね」

『ん?そういうことではなくてこんなところで女の子が一人で何をしているのかってことだよ...ちょっと待て!逃げようとするなヨ』

「あなたには関係のないことです、人の事情に首を突っ込まないほうがいいと思いますよ」

『それはそうだけど、こんなところにいていい理由にはならないだろ。それにこんな段ボールの中にいたら危ないだろ、家はあるのか?』

こんなところにいるんだから返答はもちろん一択だった

「ないです...」

なるほど帰る場所がないのか。そしたら、この次の言葉を発することはオタクにとって流れ作業に過ぎない。ここで決める

『春だとはいえ、夜は冷え込むからうちでよければあがっていって』

完璧だ。これ以上にないほど完璧な受け答えだ。ちなみに、人と話すことにためらわないタイプのオタクにこそできる秘儀だ。この返事の答えもきっと

「お断りします」

『え?』

なんだと、この言葉に動じないだと。今まで見てきたものは全て通用していたのに...この時俺は生まれて初めて二次元がどれほど都合よく作られているかを痛感した。

「そもそも、知らない男性の家に女の子が上がり込むなんて変な話じゃないですか」

『確かにごもっともだけれども、飯はどうするつもりなの』

「それはその...子供じゃありませんし自分でどうに......っ!」

ここは家の前だ。一般家庭なら夕食の準備をしている頃だろう、それは俺の家も例外ではない。家から漂ってくる食欲を刺激する香りは彼女の空腹のお腹を誘惑した。

『お腹は正直だな、腹減ってるんだろ?家には両親もいるし、ヘタレな俺が手を出せるとでも?とりあえずあがれよ』

「一生の不覚です...わかりました、お邪魔しますね」

『お、おう』

その時のほんのりと朱色になった彼女のはにかむような笑顔。知らない人に対するぎこちなさは感じたが、恋愛経験のない俺をドキドキさせるには十分すぎた。

それはそうと両親はきっと彼女を温かく迎えるだろうから問題ないとして

『あいつには酷な話だが、やむを得ない』

そう一人虚空に向かって言い放つと同時に純一に

[今日からしばらくの間、用事ができた。お前には本当に悪いと思っているよ]

とメールを送信した。その直後、悪寒がしたが大丈夫だきっと死ぬことはない。

平凡な生活に少しのトラブルが生じた程度に俺は捉えていたがこの甘い考えは打ち砕かれるかもな。そのまま、平凡な生活が変わるなんてことを期待してしまってもいいのだろうか?いや、そんなことで俺の生涯の目標が達成されるなんてことはないと確信してる。そう浅はかな期待をかき消して一足遅れて帰宅すると

「大翔、この子行く当てがないらしいじゃない。こんな可愛い子を野放しにしておくなんてことはできないわね...そうだ!うちに住んでもらいましょう!! これからよろしくね」

「え、それはどういうことですか..」

「そのまんまの意味よ、お互い助け合って生きていきましょう」

「は、はぁ...」

『そうだな...無理にここにいなくていいんだぞ?母さんは結構強引なところあるからな』

正直なところこの子が自分すぐそばで生活すると考えた時、ライフがいくつあっても足りないのは目に見えていた。きっとここで断りはするだろうけど、あまり驚かせないでほしい

「それじゃあ、よろしくお願いします...」

『どうしてこうなった...』

どうして 何故あの華麗なセリフが断られるのに人の家で時を過ごすこという大胆な行為は承諾してるんだよっ!!そう思い。自分の平凡な生活と別れをを告げ

天を仰ぐよりほかはなかった。




あとがき

こんにちは初投稿をさせていただきましたPeruluです。もう一度言いますPeruluです。初めて小説を書いてみましたが難易度が思っていた想像の遥か上に垂直に伸びていきましたね...でも、こうやってあとがきを好き勝手に書く余力は残っている。いいのか?あまり俺を怒らせるなよ、このまま本文より長いあとがきを書いて君たちの時間を浪費させ続けることも可能なのだぞ?すみません、調子に乗りました そもそもここのあとがきをわざわざ見てくれている人がいるのならば神様です。

そんなこんなでここら辺で締めようと思います。ここまで見てくださった方々本当にありがとうござます また次回お会いしましょう

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