パパ上様日記 ~私が刀を好きになった本~ KAC20231

ともはっと

私が刀を好きになったとき

 私は、刀剣が好きだ。

 中でも、やはり日本刀が大好きである。


 名古屋刀剣博物館なるところで、あらゆる刀剣書籍が自由に読めると聞き、いつか行ってみたいと思うほどには。


  でも、行かないんだけどねっ☆ てへっ☆


「電子書籍で買えばいいじゃん」

「ばーろぅ。本屋で探して買うのがいいんだろ」


 本屋で手にとって捲る時に感じる、未知なる世界への探訪。なぜか立ち読みしてたらトイレに行きたくなる罠とワクワク感が本の魅力なのであろう。


 そんな私が刀剣に興味をもったのは、趣味を探し、本屋で適当に手にとっては立ち読みをしていた時に見つけた、一冊の本。


『名刀 その由来と伝説』


 220ページほどの新書。図解と白黒の刀身が掲載されていて、当時文庫に興味のなかった私が立ち読みで全部読みきった後、その読後感が忘れられなくて、思わず買ってしまった本。


 気づけば、あらゆることを調べてしまうほどにはのめりこんだ。

 その本がなければきっと私は別の人生を歩んでいたのだろう。


 そんな、人生を変えたであろう一冊。



「――そんなパパ上の大事な本を、どこかへやってしまった、と?」

「いや、返したはずだよっ!?」


 と、先日久しぶりに見ようとしたらどこにもなくて。

 ちょ~っとアニメとかに影響受けて、ちゅうに病的に刀に興味をもった息子に貸した後から我が家から忽然と消えたその本。



 本屋にいっても、かなり古い本だから見つからない。

 だったら古本屋。――いや、古本屋でもそんなマニアックな本、見つからない。ネットで探せばすぐに見つかる? ほんとだ! だが断る!


 今でも本屋というのは、電子書籍にはない魅力とワクワク感がある。

 またあの本と出会えることを願い、私は今日も会社帰りに短い時間で本屋を巡る。




















「この本、先輩のですか?」




 会社。

 後輩が私のキャビネットから発掘した本。


 どこかで見た書影。


 タイトルは『名刀 その由来と伝説』


















 ……よし。

 帰ったら謝ろう。

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