第17話 夢の世界へー、れっつごー
「わあー大きい都市だねー」
「なんだ、その子供みたいな反応…そういえば君は生まれたばかりの獣神族だったな」
「でもー?全然人気がないねー」
王都に入って馬車を下りてギルドに向かう。
暫く歩くと、それらしき建物につく…相変わらず人は少ないねー?
「たのもー」
「おい」
「…」
ギルドに入ってみるが…ほんとに閑散としている、ほとんど冒険者がいないねー?
わずかにいる冒険者もなんだか疲れた顔をしているー。
「とうとう俺の兄貴まで夢病になっちまった…」
「まじかよ…もう終わりかもな、王都も」
「ああ、俺たちもいっそ」
夢病、それが王都が滅びようとしている元凶なのかな?
「…お待ちしておりました…アンドレイ様」
と、受付のお姉さんが話しかけてくる。この人もなんだか疲れてそー?
「…ああ」
「早速ですが王城に…向かっていただきたいです」
わあー、いきなりすぎー?
というわけでー、なぜか王城に向かうことになったよー?
「久しいな…アンドレイ殿」
「ああ、そうだな」
はいー、なんと、王の間まで普通に通されましたー?いきなり王様みたいな人と謁見だー。えー?携帯している武器の確認さえされてないよー?
それにしてもーこんな大きなお城なのになんか人が少ないねー。王様の周りに控えている近衛騎士と思われる人たちも心なしすくないねー?
みんな例のあの眠りにおちているのかなー?
「ふむ、そちらの方々は獣神族か、なんと珍しい…余はこの国を治めているものだ…、しかし彼女らは?」
「王よ、こいつらが今回の事態を解決する肝となる」
「…ほう」
「俺は面倒くさいことが…嫌いだ、だから手短にいこう…今回の首謀者「夢の魔王」は多くの人間の夢をもとに作られた「夢の世界」にいるのだろう…どうする?」
夢の魔王―?なるほどー?私にあの夢を見せたのはその魔王だったわけだねー?
「…確かに時間はない、王族のほとんどがすでに夢に囚われておる、多くの官僚も、だ…この国は近いうちに機能不全に陥る…」
わあー、すごい深刻だなー、末期状態だなー。
「なぜ、そこまで多くの人間が夢なんぞに囚われているのかい?」
とそこでバステト君が疑問の声を上げる。
「獣神族殿、今回、夢の魔王はやり方を変えてきた…人々に悪夢ではなく、幸せな夢を見せているのだ」
「…ふん、つまり?」
「みな、目覚められないのではない、目覚めたくないから目覚めないのだ」
「…なるほどね」
「目覚めないものの世話を起きている人間がしなければならない、それも大きな負担となっている」
なるほどねー?自分は幸せな「夢」に浸かって、現実を生きる人に負担を押し付けているのねー?
まーね?誰も彼もみな大変な思いや経験をしながら生きていて…幸せで苦労のない夢に逃げるという心情は理解できるよー?でもねー?
「無責任だねー?」
「…」
生きることを放棄するだけでは飽き足らず、残った人にすべてを押し付ける…実に自分勝手だねー?
これは、あれだよ、私の個人的な感想でしかないんだけどねー?
そういう奴らはねー?大っ嫌いだよー?
「王様―?」
「なんだい、獣神族の少女よ」
「ようは何らかの方法でその夢の世界に入って、人々を現実に連れ戻すんでしょー?」
「ふむ、察しがいいな、少女よ」
「私はミナミだよー」
「そうか…ミナミ殿、実はもう準備はできているのだ、そこに魔法陣があるだろう?」
おお、ほんとだーなんか複雑な魔法陣が描かれた布が敷いてあるー。
「我が国の大賢者が急遽作ったものだ、その魔法陣から夢の世界に入れる」
「…随分、準備がいいな?」
「それだけ、事態は深刻なのだ」
「…そうか、おい、小僧」
「なんだい?爺さん」
「お前は現実に残ってここにいろ」
「…ふん、他の魔王が便乗して襲撃してくることを警戒しているんだね」
「…ああ」
「いいよ、快楽におぼれて現実逃避する弱者たちなんて不快でしかないからね、そんなもの見たくもない」
わあーバステト君、辛らつだねー?
「定員は3人だ…もちろん、余も行く、王として民を説得する、アンドレイ殿たちには夢の魔王の妨害を防いでほしい」
「…了解した」
「らじゃー」
あのふざけた夢を私に見せた「夢の魔王」とやらには…死んでもらわないとねー?
「…では行くぞ、夢の世界へ」
そのまま王様を含めた私たち3人は魔法陣に乗る。
とそこでバステト君が話しかけてくる。
「ああ、ミナミ」
「なにーバステト君」
「もしそこの人間の王が説得に失敗したら…アレを使うといい」
「そだねー…そのつもり」
「…ふん、ならいい…やっぱり行かなくて正解だ」
ぼそっとそういうバステト君、あの時の事がトラウマなのかなー?
魔法陣が光だす、段々意識が遠くなる。
さて、いざ夢の世界へー、出発―!
特に目的のない最強TSケモ耳美少女が異世界に襲来する! @TOKAGE123
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