第二十話 亜人系ダンジョン15階層
「ブモゥ!」
通路にイエロー・ミノタウロスの咆哮が響く。ここは亜人系ダンジョン15階層。そこで戦闘が行なわれていた。
イエロー・ミノタウロスの手には両刃斧、ラブリュスが握られている。8階層のボス戦で戦ったのと同じ武器だ
だが武器が同じだけでそれ以外は変わっている。階層が上がったことによる能力の増加、ランクがホワイトからイエローに上がっことによる能力の増加など同じだと思って挑めば痛い目を見るだろう。
対するシヴァのほうは8階層のボス戦の時とは違って大剣ではなく槌、ハンマーを持っている。柄まで金属でできているハンマーだ。
そのハンマーの打撃部分を的確に使って振り下ろされるラブリュスを、火花を散らしながら弾いている。そして弾き飛ばした勢いを殺さないように回しつつ、次の攻撃に利用している。おかげでハンマーという重量級の武器とは思えないほど攻撃速度が速い。
そうして弾き飛ばしていると遂に胴体にハンマーの打撃部分がめり込み、壁に叩きつけた。すさまじい威力だがダンジョンの壁にはひびすら入っていない。
壁に叩きつけられたイエロー・ミノタウロスだがそれでも起き上がろうとしている。そこに無慈悲にハンマーが叩きつけられる。そしてイエロー・ミノタウロスは沈黙した。
「少し癖があるけど使えるな。本当ならもっと硬い敵に使ったほうがいいんだろうけど……」
先ほどの戦いを分析しながらもドロップアイテムを回収している。ドロップしたのはイエロー・ミノタウロスの角だ。
先に進みながらも足を止めずにハンマーを振り回す。そうしているとイエロー・ミノタウロスが姿を現した。
「ブモウゥ!」
頭を下げて角を向けている。それを見てシヴァは笑みを浮かべて、ハンマーを振り回しつつ足を止める。
「さあ、こい!」
「ブモゥ!」
イエロー・ミノタウロスが猛然とした勢いで突進して来た。どんどんと距離が縮まっているが臆することなくハンマーを振り回し続けている。そしてハンマーの攻撃範囲に入った時、イエロー・ミノタウロスの角とぶつかり合った。
ぶつかり合った瞬間、ものすごい轟音が響いた。階層中に響いたのではないかと思えるほどの音だ。
結果は、イエロー・ミノタウロスが倒れた。頭にハンマーがめり込んでいる。
「ふぅ……」
さすがに緊張したのか額から垂れる汗を拭う。その後、ドロップアイテムを拾ってから進んでいく。
ほどなくして次の階層へのゲートを見つけた。
異世界ダンジョン無双 ~戦いの神の加護で英雄になる~ 天星 水星 @suiren012
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