地球儀

 彼は地球儀を回し

 地球儀を回し

 ただじっとそれを見つめていた

 だが

 ふと彼は思った

 こんなことをして何になるのだと


 生きて行く為にするのではないし

 ましてや死ぬ為でもない

 どんなにそれを回そうと

 どんなにそれを見つめようと

 彼には何もできぬのだ


 そして

 希望で顔を輝かせ

 彼は背を向けた


 地球儀は見捨てられた

 ぽつんと一つ

 大空間に


 だが

 地球儀は知っていた

 彼の未来を

 彼がやがて戻って来て

 何も言わず

 地球儀を回し始めることを

 地球儀は知っていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

高校時代に書いた詩二編 ピエレ @nozomi22

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ