消えた町の本屋
いずも
第1話
私が小学生の時分にはいわゆる「町の○○屋さん」という個人店舗がそれなりにあったように思われる。
町の電気屋さん、町の文房具屋さん、町の本屋さん。
今回の小説の登場人物の
自転車で行ける範囲の個人店舗は行ったことがあるだけで5つ。
そのうち生き残っているのは1つだけ。
たしか1店舗は自分の代で終わらせるという感じの店じまい、2店舗はおそらく経営難、最後の1店舗は数年前に店主が交通事故で亡くなったため閉店。
私はエニックス(現スクエニ)出版が好きで、『ギャグ王』や『少年ガンガン』といった雑誌を毎月買っていた。ギャグ王の最終号がどこにもなくて結局買えなかったことは今でも覚えている。通学路にあった本屋に制服姿で訪れ、ぎょっとされたこともあった。
随分昔のことだが、祖父が6年間毎月『小学○年生』という小学館発行の雑誌を届けてくれたのだが、今でも残っている本屋は祖父の購入先だ。覚えている限り、店主は祖父よりも年上に見えたので、きっと代替わりしたのだろう。
今ではそもそも本屋を訪れる機会が無い。商業施設内の大型書店に行くことはあっても年に数回。直近で行ったのも「出先のアニメイトで買おうと思ったら売り切れだったので田舎の店には置いてるかも」という理由。特典が付かないなら通販するより安く買いたいという消極的理由だった。
家電量販店と違って、ネットの方が安いから現物を見て通販するということは起きにくいが、今は電子書籍というライバルが現れた。CDと音楽配信の関係みたいに現物は未開封で飾るもの、という時代になりつつあるかもしれない。
なんせカフェと違って町の本屋は一切増えていないのだ。それが答えだろう。
儲からない。
新規出店して生き残るとしたら特化したセレクトショップ形態くらい。
大人になっても、本を買うという行為は贅沢なまま。
消えた町の本屋 いずも @tizumo
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