っす口調の後輩女子と一緒に本屋に行くだけのラブコメっす
山外大河
っす口調の後輩女子と本屋に来た
最近紆余曲折あってバイト先が同じの一学年下の後輩女子と出掛ける事が多い。
「そういや読んでる漫画の新刊出てる筈なんすよ! ちょっと本屋寄って良いっすか!」
カラオケからのゲーセンで遊び倒した後、自己申告では身長150センチだがどう見ても145センチ程しかない後輩は帰り道にテンション高めにそう言った。
「いいぜ。ちなみになんて漫画?」
「ほら、この前先輩に既刊全巻貸した奴っす!」
「え、アレ最新刊出たのか!? マジで!?」
「マジっす! すっかり忘れてたっすけど正直カラオケとかゲーセン行ってる場合じゃなかったっすよ今日!」
「おうよ! 二人で遊んでる場合じゃなかったな!」
「え、私今の結構冗談で言ってたんすけど……」
「手の平の回転率えぐぅ……何、大会近いの?」
「実際手の平ぐるぐる選手権とか有ったら、地区大会ベスト8位は行ける気がするっすねえ」
そんな風に適当な雑談をしながら、近くの本屋へ。
「えーっと、新刊コーナーは……おっとあっぶねえ! ラスト一冊っす!」
「お、やったじゃん」
「はい!」
「で、ちょっと頼みなんだけど、じっくり読んでからで良いから今度貸してくれね?」
「しゃーないっすね。一週間で千円でどうっすか」
「なんで定価より高いんだよ。よくて三百円くらいだろうが」
「いやまずお金請求請求してることにツッコミんで欲しいっすよ! 友達に本貸す程度で友達に金請求してたら私完全にヤベー奴じゃないっすか!」
「いやお前それなりにヤベー奴だよ元から」
「え、酷いっすよそれ。流石に訂正するっすよ!」
「ヤベーけど良い奴だよ」
「ヤベーのは訂正しないんすか。一体私が何やったっていうんすか!」
「いやお前、先週の土曜の昼過ぎ……色々……あったじゃん……」
「……あの、その節は本当にご迷惑をおかけしました。煮るなり焼くなり好きにしてください……」
「じゃあ今度新刊貸してください」
「……一週間100円で良いっすよ」
「なんでこの話ループしてんだよ!」
とまあお目当ての商品を入手した後輩は俺に聞いて来る。
「そういや先輩は何か買いたい物とか無いんすか」
「ねえなあ。そもそも金欠だし」
「金遣いが荒いんじゃないっすかまったく……」
「お前が持ってる袋の中に入った巨大なペンギンのぬいぐるみに吸い取られた結果なんだが? それに挑む前は割とそれなりに富豪だったんだが?」
「ありがとうっす。めっちゃ大事にするっす」
「どういたしまして」
「で、お金使わせちゃった私が言うのもアレっすけど、お金あったら何か買いたい漫画とか有ったんすかね」
「いや今は特にねえなぁ」
「またまたぁ。実は向うの成人向け漫画コーナーに興味深々じゃないんすかぁ?」
「いや、興味云々や俺が未成年だから云々は置いといて、あんなの堂々とレジ持ってけねえだろ。買えるになっても電子とかじゃね? 正直あのコーナー18になっても足踏み入れる事なんてねえ気がするぞ。うん、ネットとかで買えるこの時代にあのコーナー需要有るのか?」
「いや先輩は甘いっすよ。私前紆余曲折あって足踏み入れた事あるっすけど、エロ本ズラって並んでるのマジで圧巻っすよ! 普段ネットとかで眺めてるのと実際目の前にドンってきてるの全然ちげえっていうか!」
「お、おう……」
拳を握りそう力説する後輩に対し、そんな反応しか出てこなかった。
……やがて後輩の顔が真っ赤になっていく。
「…………なぁ」
「は、はい……」
「といあえずレジ行かね?」
「……そ、そうっすね……ははは」
そう言った後輩は顔真っ赤なまま涙目で言う。
「……今のは忘れてくださいっす」
「…………おう」
言いながら思う。
……普段ネットで何見てんだろ。
気になって忘れられる訳が無かった。
PS 最新刊めっちゃ面白かったです。
───
作者です。
数日おきにカクヨム公式から出るお題通りに新作小説書いてく奴(今回は本屋)
可能な限りこの二人で新作の短編形式で出してく予定です。
よろしければ数日後また見つけてください。
それか作者フォローとかしてくれたら通知も行くと思います。
あと今回含めて反応良かったら連載でやろうかなとも思ってるので、反応頂けると嬉しいです。
っす口調の後輩女子と一緒に本屋に行くだけのラブコメっす 山外大河 @yamasototaiga
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