〜After(その後)〜
その昔、とある少年がいた。
彼はある日、神様に呼び出され、能力を授けられることになった。
しかし授かった能力には使い道がなく、彼は老人になった時もその能力を持て余し続けていた。
その能力とは『触れたものをマグマに変える』というものである。
触ることが条件なのでどう足掻いても自身が火傷をするし、変えたところで有効に活用することは難しい。
彼はその能力を使うことなく、普通に幸せな人生を過ごし、その生涯を閉じた。
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「天国か…久しぶりに見た気がするよ」
「あまりに衝撃だったせいで、未だに覚えている」
「まだあの時の天使はいるのだろうか」
天国に来たばかりの老人はそんなことを考えていた。そんな中、近くから誰かの声がした。老人にとって聞き馴染みのない声だ。
「ママー、人間さんが来てるよー」
「あ、人間さんちょっと待っててくださいね!」
天使とも悪魔ともつかない、その中間を取ったような見た目の少女は、天使のような見た目の女性を呼び寄せた。
少女は母親とみられる女性に質問をする。
「ねぇ、パパ今日はいないの?」
「パパは今日、地獄の見回りをする日なの」
「だから、ママと一緒に待っていようね」
そういうとその女性は子供を別の場所に送り、老人に目を向けこう言った。
「ごめんなさいね、それじゃあ、天国について説明しますね」
話をしようとする女性を遮り、老人は説明する。
「あのー、この場所で人間に能力を授けていた天使のこと、知りませんか?」
「あっ、もしかしてあなたあの時のクソガ…子供…?」
「お前じゃねぇか」
「何の用ですか?」
「今度こそ本当に死んだんだよ!」
「あ、はい」
「興味なさそうだな!!!!」
「死んだとは思えないくらい元気ですね」
「お前のせいだよ!」
「全く、お前のせいで火傷したんだからな!!」
老人と女性がそんなやりとりをしている間に、悪魔のような見た目の男性が天国に現れた。
「ただいま」
すぐさま女性は男に抱きつき、キスをした。
「…おかえり!」
そしてそれを見ていた老人はつぶやいた。
「熱くて火傷しそうだな…」
-完-
『おめでとう、今日からあなたは』 カネノネ+ @KanenonePM
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