Episode8 自動修復機能

簡単に言うと、生き物ではなく、物という事です。翻訳者様は自我を持つオブジェクトなのです。

俺の中で、爺さんの言った言葉が反芻する。

オブジェクト、オブジェクト、オブジェクト・・・。


「生き物とオブジェクトの違いって何? 見た目だと俺、生き物っぽいじゃん? どう違うわけ?」

「大きな違いとしては、生き物は死んだらそれで終わりです。物は・・・死んだりしません」


え・・・俺、不死身って事? まじ? すげぇ。

でも、ずっと生きてなきゃいけないって事? 八百比丘尼的な?


「え、待って、本当に何しても死なないの?」

「はい、死にません。修復ができます」

「・・・修復しないと?」

「そのまま、作動しない状態になります」


意識はあるけど、動かないって、それもう身体が監獄じゃん!

それ・・・困るな・・・。


「修復ってどうやるの?」

「我々のような賢者の魔法を使える者は、たいてい修復魔法を使用できます」

「うーん・・・」

爺さんは狸を指差した。


「翻訳者様のお仲間も習得すれば可能ですよ」

「それは当てにできないな・・・。他に方法はないの?」

「自動修復機能を内蔵すれば、ご自身で修復が可能です」


来た、来た、それだよ! 普通の生き物に戻る前に、動かない身体にされちゃ困るからな。


「それはどうやって内蔵できるの?」


爺さん達がざわめき出した。

え、何かまずいこと言ったかな? 俺。



「この街を出て、深い森を通り過ぎた所に砂漠があります、その砂漠に湧き出でる湖にいる、クレバーという男がその技術を習得しております。ただ・・・」


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本屋ドロボウ〜我が書店は、異世界で聖地となった〜 ヤギサ屋 @sakine88

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