Episode7 オブジェクト

狸が、ベットに横たわって、小鬼の治療を受けている。

とりあえず安心か。


俺は、座り心地の良さそうなソファに案内された。

爺さん達は床に膝をついて、頭を垂れている。

俺、そんな偉いの?


小鬼が飲み物を持ってくる。また茶色・・・。

「これ、何?」

「ダップジュースです」

臭いを嗅いでみる。無味無臭だ。飲んでみると、味覚も何も感じない。ただの水を飲んだいるような感じだ。


「俺の身体に何かした?」

「適正魔法を使用しました」

「適正? どういう事?」

「名前そのままです。この世界に適正する魔法です。翻訳者様は別の世界からお越しになったので、こちらの世界の様式に存在を適正に直しました」

「ふーん」

よくわからないけど、JPGをPDFに書き換えたみたいなもんかな。

「だからお前らの言葉がわかるようになったのか」

「いいえ。それは違います」

「? どういうこと?」

「元々の機能といいますか、あなたは、あのお店の一部ですので、そのような事ができるのですよ」

ん? なんかこのワードあのクソ金髪妖精が言ってたな。店の一部って・・・何?


「要するに、翻訳者様は、店の機能の内の一つ、装置なのですよ」

「は?」

「それなのに自我をお持ちとは、いやはや、こちらも混乱しまして、申し訳ない。店にモンスターが棲まわっていたのかと思いました」

「機能、装置? それってどう言う事?」


「そうですね。簡単に言うと、生き物ではなく、物という事です。翻訳者様は自我を持つオブジェクトなのです」

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