純文学的人間ドラマ。通常私小説、特に純文学志向の作品では、現実を忠実に表現する作品が殆どです。ファンタジーが入り込むことに嫌悪感を示す人すら居ます。本作にファンタジックな設定は無いですが、作品全体から幻想世界の香りが漂ってきます。それが主人公の内面へ切り込む上で実に効果的でした。主人公の目に映った世界は幻想世界そのものであり、そこから気づきが生まれるシーンは清々しさを感じました。実に見事な表現方法だと思わず唸らされた良作。ご一読いただき、その世界観を味わってください。是非是非!!
もっと見る