人生における本屋の割合

くまの香

人生における本屋の割合

私は本屋さんによく寄る。

と言うと、よっぽどの本好きと思われるかもしれないが、実はそうではない。


「趣味は読書です」……と言えるほど本を読んではいない。

「どんな本を読むの?」と聞かれるのが一番困る。

趣味読書の人ってそういう時何て答えるの?


そもそも本の系統もわからない。

文学っぽい物はほぼ読んでいない。

「吾輩は猫である」も耳から入った言葉「吾輩猫である、名前はまだない」のフレーズしか知らん。羅生門?知らん。夏目漱石?知らん。


では、ホラー。

怖いのは苦手だから絶対読まない。


ミステリー。

あ、中学の頃、赤川次郎を読んだ。

あれって事件が起こる話だったからミステリーでいいのかな?

何か猫が出てきたのを朧げに覚えている。


恋愛小説。

読まん、読まん。

人の恋愛話ほどイラつく話はない。

先輩の事好きなのに告白できない…知らんわ!

何でそんな話の本をわざわざ読まなきゃならんのだ。


他に種類が思いつかない、そのくらい本は読まない。

漫画はよく読むと思うが、漫画を「趣味は読書」に入れていいのだろうか。

しかし読んだ端から忘れていくので、漫画は息をするのに近い。


「どんな漫画が好き?」と聞かれても答えられない。

『最近の息継ぎで好きなのどんな息継ぎ?』と聞かれても、普通に息をしてるだけだから。


これだけ読書を否定しているのに、私は毎日本屋さんによる。

通勤途中の乗り換え駅でわざわざ下車をして本屋さんに寄る。

欲しい本があるわけでもないのに、本屋さんの中にいると何か落ち着くのだ。

そして、お腹が痛くなる。

私は普段は便秘ぎみなのに、本屋さんに行くとなぜか便意を催す。

トイレに向かい、ドッカンと出す。

ふぅ、スッキリ。

その後はゆっくり本屋さんの中を歩く。


買い物に出た先で本屋さんを見つけると必ず、入る。

友人との待ち合わせ場所近くに本屋さんがあると絶対入る。

旅行先でも観光中に本屋さんを見つけるとかなり長時間本屋さんを満喫する。


図書館は違うのだ。

図書館はトイレ的要素としては高いけれど、『行きたい』とは思わない。


本屋さんの何がそんなに私を惹きつけるのだろうか?

好きってそんな物か。

アイドルが好きな人、お酒が好きな人、オシャレが好きな人、

理由なんていらないよね?

私は、本屋さんが、好きだ。

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