【ウソはいつかめくれる】
「まぶしっ…」
とりあえず端末だけをポケットに入れ
靴を履くと玄関の扉を開ける。
同時に太陽の光が私を問答無用に照らしていく。
目を細めながら扉を閉め廊下を歩く。
向こうはもう待っているらしいから
少し速足で階段を下りていき、玄関に出る。
「おはようさん!!ごめんねぇ昨日の今日で」
「おっはよ~よく眠れた??」
声がしたほうを、
見てみると藍色のロゴTシャツと黒パンツを履き
はつらつとした笑顔を見せながら手を振る
真紀さんとダボッとした白黒ボーダーとしたシャツに
お揃いらしい黒っぽいパンツを履きサングラスを
かけてバンに乗りかかり
ヒラヒラと手を揺らすルミネさんがいた。
「おはようございますっ!!いえいえ大丈夫ですっ」
本当は、反吐が出そうなほど眠たいが
それが悟られたら気まずさの元だしと、とっさに即席の笑顔を顔に貼り付けて言う
「そうかい?ならよかったよ!
メッセージに書いたけど今日は、街を案内しようかなって思ってね」
良かったよかったと言いながら、真紀さんは車に乗り込んでいき
私もそれに続こうと後部座席の扉に手をかけた時に
「あっちょいちょいゆえんちゃん」
横に立っていたルミネさんから、こっちおいでと小さく
手招きしながら呼び止められる。
「なんですか?」
何か気にさわる事があったのかと
気持ちがドキドキと高鳴りながら振り返る。
「あのさぁ…えいぃ!」
「ふみゅ!!」
ルミネさんはいきなり私の両頬をつかみ揉みくだきだした。
「なっなにふゅゆするんでふか(なっなにするんですか?)」
「本当はめっちゃ眠いんでしょ~?顔が笑ってないよぉ」
「ぷっはぁ!!…え?」
顔面揉み砕きから解放されたと同時に、
その言葉に確信をつかれた気がしてとたんに何も言えなくなった。
「ここに来るまでいろんな事があった思うけど~
ここでは自分でいていいんだよ?」
「……」
「おーい何してんだい?行くよ~!」
「あっはーい 行こゆえんちゃん」
見ると車窓から身を乗り出して真紀さんが、声をかけて来ていた。
ルミネさんは、そのまま車のほうに歩いていき
私は、軽い返事も思い浮かばず
そのまま着いていき後部座席に乗り込んだ。
「何話してたんだい?」と真紀さんが
ルミネさんに聞き
「うーん色々?ちょっとした雑談?的な?」
と、少しあざとげな笑顔を浮かべて返す。
「なるほどねぇ 了解!」
納得した表情でうんうんと頷くと
真紀さんはエンジンをかけそのまま、車を走らせ始め
次第に、中央の市場のような区域に景色を変わり始めていく。
今日は、区域外では休日だがここでもそうなのか
昨日よりもさらに賑わっている様子がすぐに見てとれた。
そんな事を思っている間にも窓の外の景色は変わっていき
この間の駐車場らしき場所に真紀さんが車を停車させ
車外に出ると、屋台の料理のにおいなのか
ツンとカレーのようなスパイスの香りが漂ってきていた。
「おっ屋台やってるねぇ~ゆえんちゃん
朝食べてきた?」
「あっ食べ(グ~~~!!」
断ろうとした気持ちとは裏腹に腹は正直らしく、大きめな腹の音が自己主張を
強めてきて私は、その事実に恥ずかしくなる。
「うんオッケー♪それじゃまずアラさんの屋台いこっか?」
多分顔を赤らめている私とは対照的に
それを気にすることも無くルミネさんは、笑い
車に向かって屈みながら何かを取り付けている
真紀さんに呼びかける。
「真紀ねぇ~屋台行こう!!我腹減ったぁ」
「そうだねぇ!ちょうど腹減ったし行こうか」
真紀さんは立ち上がるとそのまま、屋台のほうに歩き出すし
ルミネさんと私も、美味しそうな香りの元に
惹かれるように歩いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます